身近な生き物である犬と猫のお話
皆様にとっての身近な生き物とは何ですか?人によってそれぞれかとは思いますが、一般的には犬と猫がペットとして飼われていたりするので身近な生き物と言えるでしょう。
当然、ハムスターやウサギ等の小動物や爬虫類、両生類、インコやオウム等の鳥類、熱帯魚の方が身近な人も居るでしょうが、今回は犬と猫のお話をさせていただきたいと思います。
イメージの違う犬と猫、実は!
犬と言えばどのようなイメージがありますか?
飼い主に忠実で従順、群れで行動や生活をする、人懐っこい、嬉しい時やサイレンで吠えるというイメージがあると思います。
それでは次に猫のイメージはどうでしょうか?
気まぐれで自由奔放、群れで行動したり生活をしない、クールで一人が好き、ツンデレというイメージが猫にはありますよね。
犬と猫は、性格や習性が真逆なイメージですよね。でもどちらも可愛いのは一緒ですね。私は犬も猫も飼っているので、犬も猫も世間一般的なイメージとは違う面もあるし、イメージ通りな面があるというのは重々承知しております。
そんな犬と猫ですが、実は先祖が同じなのです。哺乳類だから一緒というのではなく、同じ生き物から住んでいる場所や狩りの方法から分岐していって、それぞれ進化していって今の犬や猫になったのです。
おまけに、アシカも同じ先祖なのですよ。びっくりですよね。
その先祖の名前は、ミアキス(Miacis)。祖先とも祖先に近縁な動物とも言われています。ミアキスは、アシカを含む食肉目の祖先でもあります。
ミアキス
ミアキスは、今から約6500万年前~4800万年前の暁新世(ぎょうしんせい)時代から始新世(ししんせい)時代にかけて生息していた小型の肉食動物で、体長は約30cm。
長くほっそりした胴体に長い尻尾、短い脚といったイタチやフォッサ(マダカスカルに生息する中型犬ぐらいの大きさのマングース)に似た姿であったと推察されています。
後ろ足は前足よりも長くて骨盤は犬に近く、四肢の先端には猫のように引っ込める事が出来る爪を持っていたそうです。まさに犬と猫を足して2で割ったかのような生き物ですよね。
何故ミアキスから犬と猫へ分岐したのか?
ミアキスは何故、犬と猫にそれぞれ分岐して進化していったのか?
それは、奇跡でもなければ突然変異が起きたわけでもなく、我々人類の祖先や宇宙人が介入したわけでもない、何の意外性の欠片もない理由なのです。
ただミアキスたちは、それぞれで住んでいた環境が違っただけなのです!
犬になったミアキス(以降は犬キス)は草原へ、猫になったミアキス(以降は猫キス)は森へと住む環境を変えていっただけなのです。
住む環境を変えた理由は諸説あるのですが、私が一番しっくりくる理由は『森林での生存競争でそれぞれの道に進んだ』です。ミアキスが生息してた時代には、ミアキス以外のライバル捕食者も居ますし、ミアキス自身がミアキスのライバルでもあったのです。
森から草原に移り住んだ犬キスは、より速くより遠くへ走れるように、より獲物の臭いを嗅ぎ分けられるように、より遠くの仲間とコミュニケーションをとったり、自分よりも大きな獲物に大きな声で威嚇出来るように身体を変え、狩りの成功率を上げる為に群れで行動をとるようになっていきました。環境に適用する為に身体と習性を変化、いや進化していったのです。
一方で、森に住み続けた猫キスは、より相手に見つからないように、より自分の気配を消せるように、より自分が音を発さないような動きを習得し、群れではなく単独行動をとり、尻尾は細い木の枝でもバランスがとれるように細くしなやかに、髭はあらゆるものをより敏感に感じ取れるように、森林での狩りを成功させる為に隠密性を特化させていきました。犬キスと同じく猫キスも環境に適用する為に、その身体と習性を進化させていったのです。
当然、犬キスも猫キスも、移り住んだ環境の違いだけではなく、食べ物なども関係している可能性もあるとは思いますが、環境が大きく影響を与えたのも事実だと思います。
実は、私たち人間も食生活や住んでいる環境で独特の進化をしているのです。
一番有名なのは、私たち日本人と欧米人では腸の長さや硬さが違うことです。欧米人は動物性たんぱく質と脂質を多く含む食事をしていたので、腸は硬く短くなり、日本人は植物食中心の生活をしていたので腸は柔らかく長くなっていったのです。
日本人にスポットを当てるなら、生海苔を消化できるでは日本人だけなのです。驚愕の事実ですね。
生命の神秘
一つの生物から、容姿も習性も全く違う生物へと様々な進化をする、それが只々移り住んだ環境が違うだけでこの様な奇跡と言っても過言ではない進化や変化が起きるのは、まさに生命の神秘と言えるでしょうね。
私たち人間も犬や猫もどんどん住んでる環境が良くなりました、でも危険は少なくなっています。
ミアキスたちは、それぞれ危険な環境に適応して最適化していって今の姿に進化していきました。今後私たち人類も時代が進むにつれて、どのような進化をしていくのか?とても楽しみですね。