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北海道・知床半島沖で起きた観光船事故。ずさんな事故の原因とは

知床半島沖で起きた観光船事故

2022年4月23日、北海道知床沖で乗客26人を乗せた知床観光船が沈没したという忌まわしい事故が起きました。

この記事を執筆している私は、幼い頃から毎日船に乗っており、ボートの船長として乗務できる4級小型を高校生の頃に取得し、20トン未満の小型漁船に乗務できる1級小型の資格を大学2年の春に取得しました。

今回、乙種一等航海士の資格を持つ私が「知床観光船沈没事故」について話していこうと思います。

事故の原因は観光船の整備問題の他に驚くべき事実も

沈没した知床観光船「KAZU1(カズワン)」の船長である豊田さん。

知床観光船の船長を勤める豊田さんの前職は、水陸両用バスの船長だったそうです。

水陸両用バスだった船長が北海道の海を走る資質があったかと言われれば、答えはNOと言うでしょう。

観光船の船長として雇うとなっても、1〜3ヶ月は研修期間を作り、危険な岩礁の位置やコース取りを叩き込む必要はあったと思います。

船内にある無線機も海上保安庁と直接交信できる国際VHFというものがあるのですが、付けていなかったようです。

そしてKAZU1には、引き上げの際に船腹に3つの穴が発見され、6月始めには船内に入る作業用(人が通るため)の穴が人為的に開けられていたと報道されました。

この穴によって船内への浸水が広がったのではないかと言われています。

KAZU1の甲板や客室の下には、船首側から、船倉、機関室、舵機室があります。問題の人為的に開けた穴は、船倉と船倉の間に開けていたそうです。

各室の上部には、船員が出入りするハッチがありました。そして同社関係者は「毎回上り下りするのが大変だから、壁に開いている穴で行き来していた」と証言しました。

 

 

なぜ船の引き上げに失敗したのか

知床観光船のKAZU1が引き上げ後、再び沈没しました。

沈没地点は前回よりも深い水深180メートル地点。引き上げ失敗の原因は、サルベージ側の信じがたいミスでした。

どこかに穴が開いていると言われている沈没船なので本来は、引き上げ後は速やかに作業台船に載せるのが常識。

しかし、実際の引き上げ作業は沈船の防水処理をせず、タグボートで曳航していたというのです。

素人でもわかる初歩的なミスで、沈むのは当たり前です。第一、民間技術での飽和潜水がどこまでOKなのか?これも疑問です。

もう減圧段階に入っている潜水士にもう一度潜れと言うわけにはいきません。ここは海上自衛隊の潜水艦救難母艦を出してプロ中のプロに任せたほうがいいと私は思います。

アマチュア無線機のイメージが低下するのではないか

KAZU1が引き上げられると、潮が引くようにマスコミもネットメデイアもこの事故の報道をしなくなりました。

私はこの事故で大きな危惧を抱いています。KAZU1と本社の連絡にアマチュア無線機が使われていたことで、世間の目が「アマチュアは悪」というイメージがつくのではないかということです。

アマチュア無線というのはその目的が電波法施行規則第3条第1項第15号に次のように規定されています。

金銭上の利益のためでなく、個人的な無線技術の興味によつて行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務をいう。

つまり、アマチュア無線を商売に使ってはだめだという意味です。但し、避難など緊急時自分や仲間に急迫危険が迫っている場合で他の通信手段がない時のみ認められます。

KAZU1のように日常的に運航業務にアマチュア無線機を使うことは例え免許を持っていたとしても、禁じられています。今後、船内捜索で無線機が出てくれば明らかになってくると思いますが、どんな形であれアマチュア無線の機械が出てきたら電波法でも裁かれるのです。

 

また今後このような水難事故が起きないためにも、船外船内の整備を怠らないこと。そして気象、海象に精通して天気図と海図を読めるベテランの人が安全に船を運航していただきたいと思います。

 

 

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