推奨されている1日の砂糖の摂取量はどれくらい?
WHO(世界保健機関)によれば、1日あたりの砂糖の摂取量は、子どもや大人に関係なく、全体の摂取カロリーの5パーセント未満にすべきだとされています。一般的に、1日平均1800~2200kcalのカロリーを摂取していると言われている成人の場合であれば、中間をとって1日2000kcalとすると、そのうちの5パーセントは100kcalの摂取量となります。缶コーヒー1本に含まれる糖分は、約100kcalです。生の果汁などが含まれないドリンクや缶ジュースなどはさらに多くて、缶コーヒーの6倍~7倍と言われています。加えて、一緒にチョコレートなどのお菓子を食べると考えると、ゾッとしますね。
日本人の5人に1人が糖尿病予備軍と言われていますが、WHO(世界保健機関)が、砂糖の摂取量を勧告するのもなんだか納得してしまいます。今回は、そんな美味しい砂糖の怖い話をご紹介します。
身近に潜む美味しい砂糖の怖い話
私たちが毎日食べている身近な食べ物と言えば、白米や白い小麦粉などですが、実は、これらは、極度に精製された炭水化物と白い砂糖でできています。
これらは「単純炭水化物」とよばれる物質で、カロリーはあってもビタミンやミネラルなどの栄養素は含まないという特徴があります。そのため、英語では、エンプティーカロリー(空っぽのカロリー)と言われています。
それでは、「空っぽのカロリー」を摂取すると、体内ではどんなことが起きるのでしょうか?ビタミンやミネラルなどが含まれない、炭水化物や白い砂糖のみで出来た「空っぽのカロリー」は、体内に入ると「ブドウ糖」として分解されます。ブドウ糖が身体に吸収されると、急激に血糖値が上昇します。また、ブドウ糖をエネルギー化する際には、「ビタミン」や「ミネラル」などの栄養素が必要です。
ご察しの通り、空っぽのカロリーは何しろ「空」なので、「空っぽのカロリー」をエネルギー化するためには、他の食べ物から摂ったビタミンやミネラルを使う必要があります。つまり、空っぽのカロリーを食品を摂ると、血糖値が急激に上がるだけでなく、他の食べ物から摂取した体内の栄養素がムダ遣いされてしまうのです。これは、糖尿病の第3の原因になるミネラルの一つとなる「クロム不足」にも話しがつながっています。
クロム不足で起きること
ブドウ糖は、どれだけとっても良いというわけではないため、過剰に細胞に取り込まれないように、ドアのようなものが付いています。そのドアを開ける鍵が「クロム」というミネラルです。空っぽのカロリーの「白い砂糖」が、ブドウ糖に分解されて細胞に取り込まれるとき、砂糖に含まれていないクロムが使われます。しかし、常にクロムが「必要量」体内にあるとは限らないので、細胞のドアが開かないことがあります。そうなってしまうと、細胞にブドウ糖が取り込まれなくなるので、血中でだぶついて腐敗してしまうのです。その後、ブドウ糖を尿に混じらせて排出するという作用が起きるのですが、この量が著しくなるのが「糖尿病」です。
米や小麦などは精製されなければ、重要なクロム源です。しかし、精製されて「炭水化物」と「白い砂糖」だけになってしまうと、クロムと他の栄養素が含まれない、ただの空っぽのカロリー=単純炭水化物になってしまいます。単純炭水化物になってしまった穀類は、白い砂糖と同じ働きを体内で起こして血糖値を急激に上げてしまいます。そのため、摂取すべきではないと考えられているのです。
血糖値を急に上げるとよくない
米や小麦などの白い食べ物は、消化がよくて、短い時間であっという間に吸収してしまいす。そのスピードは食べた瞬間始まると言われるほどなので、相当早いです。人類は、常に飢餓と隣合わせの歴史がとても長かったことを考えると、食料が豊富になって穀物が食べられるようになったのは、ごく最近のこと。
そのため、人間の体は、血糖値を急激に上げるような贅沢な状態を想定していないため、 血糖値が急激に上がることに対応するシステムが全く備わっていないのです。
急激に血糖値が上がると、急激にインスリンが出て急激に血糖値を下げようと対応しますが、本来的に備わっているインスリンのシステムではないため、コントロールがうまくできず、血糖値を異常なまでに下げ過ぎることもあります。
血糖値が下がり過ぎた状態が続くと、心拍や呼吸も停止してしまいます。そのため、今度は、血糖値を急激に上げようとします。すると、体を守るために「アドレナリン」や「ノルアドレナリン」というホルモンが分泌されます。血糖値の上がり方が緩やかであれば、インスリンも少しずつ分泌されるのですが、急激に血糖値が上がると、どこまで上がってしまうのか想定できないため、インスリンも急激に分泌されてしまうのです。そして今度は、血糖値が下がり過ぎてしまうと、どうにかして上げようとする相反作用が起きるのです。
メンタルにもインスリンの相反作用?
この相反する作用が繰り返されると血糖値が乱れて、人間は感情のコントロールがうまくできなくなってしまいます。
大量のインスリンが分泌されて、どんどん血糖値が下がった状態が低血糖です。このとき、人間のメンタルは「うつ病」の症状とそっくりになります。
更に、低血糖のときは相反作用が働いて「アドレナリン」「ノルアドレナリン」が分泌されます。これらは、メンタルを「躁」にさせます。また、血管を収縮させて「不安」「恐怖」を増幅させる作用もあります。
血糖値の急激な変化の波は、メンタルにも影響を与えているのです。
「ノドが渇いた」「お腹が空いた」そう思ったとき、簡単に体を満たす冷たくて(温かくて)美味しい飲み物や食べ物が手に入る時代となりました。簡単で安価な買い物は空腹や渇きを満たしますが、最終的に近い将来、高額の医療費を払うことになるかもしれません。
商品を手にとる前に、「血糖値」のことを少し考えてみましょう。特にお腹が空いている状態の体は、「糖」を積極的に摂ろうとするので、注意が必要です。
砂糖の怖い話のおまけ
あるラットの実験によると、空腹時に砂糖を摂取したラットの脳内では、「コカイン」「モルヒネニコチン」といった異常性薬物に反応する神経が働くという研究結果が出ました。加えて、砂糖を断たされたラットは、アルコールを欲しがり、アルコールの量が増えたことも判明したようです。
つまり、「砂糖」は依存性があるだけでなく、脳の機能までおかしくすることを示したのです。
ラットの実験が、そのまま人間に当てはまるとは限りませんが、可能性は否定できません。
ところで、料理をするときでさえ調味料として砂糖が必要なことが多いですよね。冒頭でご説明しましたが、WHO(世界保健機関)によれば、1日あたりの砂糖の摂取量は、子どもや大人に関係なく、全体の摂取カロリーの5パーセント未満にすべきだとされています。一般的に、1日100kcalの摂取量です。缶コーヒー1本に含まれる糖分は、約100kcalです。生の果汁などが含まれないドリンクや缶ジュースなどはさらに多く、缶コーヒーの6倍~7倍です。
それでは、最後までご覧くださりありがとうございました。