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音楽の捉え方・作り方は人種によって変化するのかを検証

3人種の音楽の違い

ここ数年、黒人に対する人種差別の撤廃を訴える運動が国際的に盛り上がりを見せ、黒人音楽の歴史を讃えようというメッセージが発せられています。

それに伴い、ここ最近の黒人や白人たちの政治的な動きが音楽界にも流入する様子があったので、それぞれの人種の音楽の特徴について考察していくことにしました。

今回は、黒人・白人・日本人音楽を比較対象として、様々な音楽ジャンルから人種間の音楽に対する向き合い方にあるそれぞれの特徴を見ていきたいと思います。

ブルースを軸に、人種ごとの音楽の違いを考えてみる

まず、「ブルース」という音楽ジャンルを軸に、人種ごとの音楽の違いを探っていきたいと思います。比較を分かりやすくするために、選曲は全て1950〜1970年代初頭のものです。

黒人のブルース「ローリン・ストーン」

黒人が作った、マディ・ウォーターズの「ローリン・ストーン」(1957年)というブルースです。この曲のタイトルからローリング・ストーンズがバンド名を拝借したという逸話もあるこの曲では、ゆっくりとしたリズムでエレキ・ギターが弾かれる中、時に声を張り上げ歌います。

どちらかと言えば、ダークな密室で録音しているような音の響きが感じられると思います。ギターの音色もトーンを籠らせたような音で、トゲが立っている感じはあまりありません。リズムへの乗り方は非常にゆっくりとしています。

白人のブルース「ミッドナイト・ランブラー」

続いて、ローリング・ストーンズミッドナイト・ランブラー」(1969年)という、白人が演奏するブルースです。

少しギターの音色が明るく、硬く感じられるのではないでしょうか。白人たちはこういった、ある種ストイックで硬質なサウンドを好む傾向があるように思います。リズムの刻み方も、先程のマディの曲と比べるとシャキッと、きっちりとしています。

日本人のブルース「颱風」

日本人が演奏するはっぴいえんど颱風」(1971年)のブルースです。ブルースというよりフォークの範疇に入るのかもしれません。

タイトルを読んで字の如く、台風について歌った、なんだかシュールなこの曲。ブルースよりもさらに力を入れて、タイトにベース、ドラムを合わせている感じです。各楽器の音は少し柔らかい感じで、相反する要素として、ひとさじの神経質な感じもある気がします。

さて、ここまで3種の人種のブルースを聴いてきましたが、同じブルース調の楽曲を演奏しているのに、人種ごとに微妙にリズムへの取り組み方、歌い回しの在り方等が違うような感じがするのは、決して気のせいではないと思われます。

様々な音楽を聴いてきた私としては、これは間違いなく存在する、そして他の全てのジャンルの音楽にも通底している人種間の、面白い相違ではないかと思うのです。

R&Bを軸に考えていく、さらに深まってきた面白い相違

続いては、黒人たち・白人たち・私たち日本人のR&Bという音楽ジャンルの違いを聴き比べてみたいと思います。比較を分かりやすくするために、選曲は全て1970年代のものとします。

黒人のR&B「Too High」

まずは、黒人音楽のマスターピースをいくつも作り出してきた、スティーヴィー・ワンダーの「Too High」(1973年)を聴いてみましょう。

先程のギター・サウンドと同じように、エレクトリック・ピアノの音色が少し籠もった感じを演出しています。リズムの刻み方も優しい感じで、刺々しい感覚はそこまで無いのがお分かり頂けるかと思います。

白人のR&B「Get It For Love」

続いて、白人が作り上げたR&Bを聴いてみましょう。ネッド・ドヒニーによる「Get It For Love」(1975年)です。

アコースティック・ギターのサウンド、ドラムのサウンドが特に明瞭に聴こえてきます。リズムの刻み方も、ゆっくりではありますが揺れはあまり感じません。ローリング・ストーンズと同じくシャキッとしたリズムになっていますよね。

日本人のR&B「恋の流星」

そして、私たち日本人の中から生まれたR&Bを聴いてみましょう。吉田美奈子恋の流星」(1977年)です。

特にドラム、ベースにかなり力が込められています。ですがどこか音が丸っこい感じは伝わると思います。柔らかい音の中に力を込めることで、独特な硬質さを得ています。

こうして3種の人種間のR&Bを分けながら聴いていくと、やはり面白い相違が浮き上がってきます。全て70年代に生み出された曲ですが、同じジャンルでも人種ごとにそれぞれ独自の個性を持って音楽を作っていることに、音楽の自由さ、その自由の素晴らしさが感じられるのです。

人種別によるリズム感のまとめ

ここまで人種間の音楽の違いを立証するために、多くの例を見てきました。先程の繰り返しになりますが、人種ごとにより違いがあるのですね。

あとがき

人種により楽曲が違いますが、全ての音楽は平等であり、どの人種が持つセンスも尊重され、作り手にも聴き手にも優しく提示されていくべきです。

「変化」や「相違」に心を閉ざして忌み嫌うのではなく、その一つ一つの多様さを受け入れて楽しむことで世界への見方が変わっていくのです。そのきっかけを提供する手段として、音楽という媒体は機能しています。

様々な人種の音楽を聴き比べて想像力を広げていくことが人種間の争いを和らげ、世界に生きる人々の心が善い方向に向かえることを私は祈るばかりです。

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