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2024/7/10:フリーペーパーvol.100発刊!

人それぞれのサマータイムに、こんな音楽はどうでしょう?

夏に合う音楽ってどんなもの?

春を過ごして、梅雨を過ぎて、夏がやって来る。季節の巡り行く速さに思いを馳せつつ、私は今日も音楽を聴いています。
夏の過ごし方は人それぞれです。野外で行うようなレジャーやスポーツに興味を持つ人もいれば、私のようにインドア派な人は映画を観たり、音楽を聴いたり、あるいは読書をしたりなど人によって色々な過ごし方があります。

アウトドアな夏の楽しみ方について私はあまり知識を持っていないので、今回は「夏にぴったり合う音楽」「夏の暑さを風流に思わせてくれるような音楽」を、私のパーソナルな視点から御紹介しようと思います。

夏に合う音楽。それはどのようなものでしょう。私は夏場に激しい音楽を聴いていると、より暑さが身体に回って来ます。やはりここはなるべく静かな、清涼感のある音楽を選びたいものです。

音楽はどこで聴くかによっても味わいが変わってきます。例え部屋の中で聴こうと外の環境音は室内に聴こえてくるわけで、そういう時は周りの音を掻き消そうとすると、心も室内もよりノイジーになってしまいます。周りの音に溶け込むような、空間的な音楽を選ぶのが適していると私は考えます。
この二つの観点から、「夏にぴったり合う音楽」「夏の暑さを風流に思わせてくれるような音楽」を見つけていきたいと思います。

夏にぴったり合う音楽、その1「ジョアン・ジルベルト / In Tokyo」

私の音楽を聴く手段がCDからサブスクリプション・サービスに変化してだいぶ時間が経ちますが、その中でも一番静かだったアルバムがこの「ジョアン・ジルベルト / In Tokyo」です。
ジョアン・ジルベルトはアントニオ・カルロス・ジョビンらとともに、ボサノバという音楽ジャンルを作り上げたとされます。
「ボサノバの神」と形容されるジョアンがこの「In Tokyo」で行っているのは、ガットギター一本による非常に穏やかで美しい音楽です。

収められているのは2003年の東京公演ということで、内容は弾き語りのライブ演奏なのですが、(さざ波のような観客の拍手を除けば)その演奏は極めて静謐に広がっています。しかし消え入りそうな感覚は無く、その音は単純な激しさの発露とは違う強靭さを持っています。それは当時70歳だったジョアンの年の功というのもあるでしょうし、ボサノバという音楽が先天的に持つしなやかさ、洒脱さの追求が生み出したものでもあると思います。

気温の高い日にゆっくり部屋でこのアルバムを聴いていると、とても穏やかな気分になれます。ジョアンのパフォーマーとしての力に集中して聴くのも良いでしょうし、単純なBGMとしてもこれほど上質なものは無いでしょう。

夏にぴったり合う音楽、その2「Small Circle of Friends / Silence」

私が2020年の夏に一番リピートしていたアルバムがこちらです。当時は仕事を失っており、体調も悪く、そのような鬱屈した身体・精神状態の中でも、音楽を聴くことだけはやめられませんでした。それをやめてしまうと、本当に何のために生きていいか分からなくなるような気がしたのです。

Apple Musicがこのアルバムを紹介してくれたことには非常に救われました。Apple Musicのプレイリストに入っていた「ワタシのはなし」が私の鬱積を優しく和らげました。誰にでも分かる平易かつ適切な言葉を繋いだ、リズムに乗ったポエトリー、歌唱。無駄を省いた、しかし作り込まれた細部を感じさせる悟りの境地のようなサウンド。素晴らしいと思いました。そしてそのムードはまさに「夏」でした。

Small Circle of Friendsというアーティストを私はそれまで知らなかったのですが、調べてみるとこの方々は日本のヒップホップ・ユニットという括りに位置するようです。
福岡で開始された「Freedom Express」というパーティが起点となり結成されたこのユニットは、様々なアーティストに楽曲提供も行い、別名義での活動が海外で話題に上ることもある、知る人ぞ知るキャリアを重ねたミュージシャン集団でした。
この「Silence」は今のところSmall Circle Of Friendsとしては最新作のようです。良い具合に力の抜けた音楽が凝縮されたこの「Silence」には、その名も「サマーソング」という曲名もあり、ジャケットはビーチパラソルが立つ海辺。まさに夏にはぴったりなのではないでしょうか。

夏にぴったり合う音楽、その3「曽我部恵一 / 曽我部恵一」

海辺を映したジャケット繋がりで、この「曽我部恵一 / 曽我部恵一」も併せて聴いていきましょう。90年代から現在に至るまで「サニーデイ・サービス」というバンドで老若男女に愛され、活躍する曽我部氏が、一旦のバンドの解散状態から生み出したこのソロアルバムは、とにかくアコースティックなアルバム。もはやオーガニックな香りすら漂わせている一作です。

曽我部氏はキャリアを通し、ジャンルを越境した色々な歌い方、アレンジを試していますが、ここでは生楽器にこだわり、ソフトな歌い方で全編を通しています。
刹那的な情景の描写に重点を置いた歌詞も、根底にポップへの憧憬を抱いたメロディーの程よい甘さも、一般のJ-POPのように整理されていない、少しざらっとした音響すら美しい。今にも崩れ落ちそうなアコースティックギターの重奏で紡がれる「100年後の世界」の音響センスに至っては、最高の一言です。

これは夏には本当にちょうどいいアルバムです。この暑くなく、しかし情熱や音楽愛がこもっている、この温度感が素晴らしいのです。

夏にぴったり合う音楽、その4「ランタンパレード / ブルードリーム」

その曽我部氏が経営する「ローズレコーズ」というレーベルからの発表となった、この「ランタンパレード / ブルードリーム」も夏にぴったりなのです。清水民尋氏によるソロ・プロジェクトであるランタンパレードは、R&Bを中心に様々な音楽ジャンルを取り入れながら音楽を作り続けています。

2020年に発表されたこのライブアルバムには、「甲州街道はもう夏なのさ」という夏の生活の風景を歌った名曲のライブバージョンが収められ、他の楽曲も決して取りこぼすことのできない、切なくなるほど涼やかなものとなっています。

他のアーティストとは一線を画す、「文学的」「哲学的」と簡単に表現してしまうのも違うような、独特な視点で生活を歌う歌詞の素晴らしさ。そして、危うくも感性の鋭さを深めていくような生演奏は、効果的に使われるパーカッションが特に良い感じです。もはや単なる音楽というよりは「体験」に近いランタンパレードの音楽を、夏場の渇いた路上や自室で、是非聴いて頂きたいと思います。

芸術作品の力に助けられながら、夏を快く楽しみましょう

「夏にぴったり合う音楽」「夏の暑さを風流に思わせてくれるような音楽」という観点から四作のアルバムを紹介致しました。これらは全てApple Musicを初めとしたサブスクリプション・サービスで配信されていますので、聴くまでのハードルはそう高くないと思われます。

夏は過ごしにくい季節ですが、音楽を聴いたり、水分補給をしたり、あるいは適度に換気をしたりするだけでも心持ちは変わるものです。夏により楽しめる、夏により映えてくる芸術作品というものはたくさんあるので、それらをサブスクリプション・サービスや動画配信サービスなど、インターネットのメディアを利用して探していくのも、旅行や、各種イベントに参加する、といったこれまでの夏の楽しみ方と同じように、夏を快く過ごす方法のスタンダードになっていけば良いな、と私は思います。

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