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AI活用による障害者雇用の拡大の可能性

音声入力や画像認識の技術の進化に大きな期待

昨今、AIの発達には目覚ましいものがあります。日常生活においても、音声入力を活用する場面が増えました。私自身はApple Watchを利用していますが、LINEの返信などをApple Watchで行う際、音声入力の正確さには驚くばかりです。

また、自動車においても、まだまだ搭載されているのは高級車に限られますが、エアコンやオーディオなどの操作を音声で行うことが可能となっています。同様に、画像認識についても目覚ましく進化をしています。身近なところでは、Googleには「画像検索」という検索機能が備わり、類似する画像を検索することができます。また、自動車の標識認識機能は多くの車種に搭載されるようになりました。ビジネスの場においても、領収書や名刺をOCR解析するソフトの精度も日進月歩で進化をしています。

このように、音声入力や画像認識は、日常生活やビジネスの様々な場面で大きな助けになります。

障害者向けのAIツール

そして、音声入力や画像認識の技術は、障害者の日常生活を支えるツールや、障害者と健常者のコミュニケーションを助けるツールにも活用が始まっています。

たとえば、株式会社マリスは、視覚障害者の方に向け、「眼鏡型のセンサーで周囲の状況を検知し、視覚障害者の方が持つ白杖に取り付けた振動装置が振動して事前に危険を知らせる」というツールを開発しています。

視覚障害者のための歩行アシスト機器「seeker(シーカー)」の実証実験を実施!
(2021年3月1日 PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000073897.html

このツールを活用することで、視覚障害者の方が駅のホームから転落する事故などを防ぐことができるということです。

別の例を挙げるならば、現在、エジプトで聴覚障害者の方が活用できるコミュニケーションツールの開発が進んでいるということです。

音声と手話を相互変換、聴覚障害者を助けるAI眼鏡 エジプト
(2021年6月2日 ロイター通信)
https://bit.ly/34ZXv8G

このツールでは、健常者が話した言葉が文字に変換され、聴覚障害者の方が身に付けているメガネ型のディスプレイに表示されるということです。逆に、視覚障害者の方が手話を行なうと、小型カメラがその手話を解析して、音声に変換されます。すなわち、AIのサポートにより、手話通訳者がいなくても、健常者と聴覚障害者が円滑にコミュニケーションを取れるようになるということです。

将来への期待

このようなAIツールを活用すれば、障害者の社会進出も大きく促進されるはずです。これまで障害者の方の就業が難しいと考えられていた職種に対しても、どんどん就職の可能性が広がってきているのではないかと思います。

社会保険労務士の立場からの意見としては、国には、このようなツールを開発する企業を積極定期に応援してほしいですし、企業が障害者の方を採用するにあたって、ITツールを導入する場合には、ツールの購入費用を補助するような助成金をどんどん拡充させて頂きたいものです。

 

プロフィール
榊 裕葵(ポライト社会保険労務士法人代表)

大学卒業後、製造業の会社の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。その後、社会保険労務士として独立し、個人事務所を経てポライト社会保険労務士法人に改組。マネージングパートナーに就任。勤務時代の経験も生かしながら、経営全般の分かる社労士として、顧問先の支援や執筆活動に従事している。また、近年は人事労務freee、SmartHR、KING OF TIMEなどHRテクノロジーの普及にも努めている。

主な寄稿先:東洋経済オンライン、シェアーズ・カフェオンライン、創業手帳Web、打刻ファースト、起業サプリジャーナルなど

著書:「日本一わかりやすいHRテクノロジー活用の教科書

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