長期化で起こりうる体の不調とその対策
新型コロナウイルスの影響が長期化し、その影響でテレワークが続いている企業も少なくありません。そのような中、テレワーク特有の心身の不調の問題が表面化しています。
今回は、テレワークで起こり得るリスクのある心身の不調と、その対策について説明をさせて頂きます。
うつ病
テレワークによる勤務の長期化で目立つのは、うつ病です。
人によって原因は様々であったり、複合的な原因が絡んでいる場合もありますが、主には、以下のような原因が考えられます。
1.就労環境の変化(自宅勤務なのでオンオフの切替ができない)
2.業務内容の変化(ITツールへの対応ができない)
3.対人接触の機会減少による孤独感
4.日常生活リズムの変化
テレワークは、新型コロナウイルス対策だけでなく、満員電車での通勤からの開放やワークライフバランスにつながるなどのメリットも大きいです。
しかし、メリットばかりではなく、上記のように、環境変化や孤独感などによるデメリットもあることを理解しておかなければなりません。
その上で、うつ病を予防するためには、生活のリズムを整えることや、意識してオンとオフのメリハリをつけること、チャットやWEBカメラなどを活用して積極的にコミュニケーションをとることが重要と考えます。
そして、うつ病の兆候を感じるようなことがあれば、早めに休んだり、医療機関を受診するなどの対応を心がけましょう。
長時間労働
テレワークに移行する場合、「事業場外の見なし労働時間制」が適用されることが多くあります。
事業場外の見なし労働時間制とは、出張時と同様に、出退勤時刻や休憩時間などを細かく管理しないかわり、所定労働時間(一般的には1日8時間)働いたものと見なす制度です。
事業場外の見なし労働時間制が適用されるからと言って、労働時間の管理を行わなくて良いわけではないのですが、働く時間の自由度が高まることで、人によっては長時間労働になってしまいがちなようです。
長時間労働による心身の疲労の蓄積はもちろん、うつ病などのメンタルヘルスの問題にもつながりかねませんので、テレワークにおける長時間労働にも充分注意を払ってください。
腰痛や眼精疲労
会社のオフィスでは、仕事用のデスクやチェア、照明など、快適に働くための環境が整えられていますが、テレワークでは、快適な就労環境が整わない場合があります。
ダイニングテーブルやちゃぶ台などで長時間ノートパソコンに向かい、腰痛になったという事例が少なくないようです。
また、照明が充分に明るくない中で仕事をして、眼精疲労になったという話を聞いたこともあります。
自分の健康を守るため、できる限り快適な職務環境を自宅に用意できるように心がけましょう。
会社によっては、テレワークに必要な環境を整えるための費用補助をしてくれる場合もありますので、いちど会社に相談をしてみるのも良いかもしれません。
生活習慣病
テレワークによる運動不足で生活習慣病のリスクが高まる事も懸念されます。運動不足は、肥満、高血圧、糖尿病などにつながる恐れがあります。
コロナ禍によりスポーツ活動なども制限されている中ですが、ストレッチや筋トレなど自宅で行える運動を習慣づけるとか、自宅周辺を安全に気を付けながら散歩するなど、可能な範囲で日常生活の中に意識して運動を取り入れることが望ましいでしょう。
まとめ
目下は新型コロナウイルスの感染者数の増加が続き、首都圏には緊急事態宣言が出るなど、テレワークが必要な時期がまだまだ続きそうです。
心身の健康管理に気を付けながらテレワークに取り組んでください。
【プロフィール】
榊 裕葵(ポライト社会保険労務士法人代表)
大学卒業後、製造業の会社の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。その後、社会保険労務士として独立し、個人事務所を経てポライト社会保険労務士法人に改組。マネージングパートナーに就任。勤務時代の経験も生かしながら、経営全般の分かる社労士として、顧問先の支援や執筆活動に従事している。また、近年は人事労務freee、SmartHR、KING OF TIMEなどHRテクノロジーの普及にも努めている。
主な寄稿先:東洋経済オンライン、シェアーズ・カフェオンライン、創業手帳Web、打刻ファースト、起業サプリジャーナルなど