小学校でプログラミングが必修化
2020年から小学校でプログラミング教育が必修化されているそうです。最近、社会科見学だったのでしょうか、10人ほどのグループの小学生が先生に引率されていたのですが、先生がタブレット端末を持って説明したり、写真を撮ったりしている姿を見かけました。
私が子供の頃は、まだまだパソコンの普及率自体も低かったですし、現在みたいな高度化・複雑化したシステムもありませんでした。そこで今回は、小学校でのプログラミング必修化について見ていきたいと思います。
プログラミング教育の必修化
”プログラミング教育”と聞いて、なにを想像するでしょうか?“大人でも難しいことを、子供ができるのか?“とか、ちょっと古い表現ですけど、“1億総IT社員化計画なの?“などと思いがちですが、プログラミング教育の目的は、プログラミング的思考を養うための授業であるとのことです。物事をわかりやすく順序立てて考え、試行錯誤し、評価・改善し、物事を解決する能力を養うための授業です。プログラミング教育の必修化は、必ずしもパソコンを使うスキルを身につけるだけが目的ではないようです。
また、生活がどんどんデジタル化、IT化、グローバル化していく中で、AIなどの新しい技術が確立されてくるようになりました。そんな中で、新しい時代の子どもたちにこれから求められるであろう、コンピュータを受け身ではなく積極的に活用する力や、プログラミング的思考(論理的思考)を教育していこう、というのがこの教育の目的です。
小学校での学習活動
小学校の新学習指導要領の中では、次の2つの学習活動が定められています。
1.児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要な操作を習得するための学習活動
これは、パソコンを使って文字入力をしたり、正しい起動、終了ができたり、アプリケーションを立ち上げることができたりと、基本的な操作ができるように学習していくことです。
2.児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身につけるための学習活動
これは、コンピュータを実際に動かすために必要な考え方(論理的思考)を身につけることを学習します。動かす目的を決め、それをコンピュータにわかりやすく伝えることができることや、いろいろな人と交流する中で、相手に合わせてわかりやすく論理的に意思を伝えることができる考え方を身につけます。
つまり、コンピュータがますます社会に浸透していく中で、コンピュータを使いこなしていくための基礎的な力を育んでいこうということです。一昔前までは、コンピュータはマニアのもので、知らなくても生きていけました。しかし、今現在は、あらゆるところにコンピュータが使われており、利用できなければ取り残されていく社会となりました。ある意味、時代に取り残されないための教育と言えるのかもしれません。
プログラミング的思考(論理的思考力)とは
プログラミング的思考について、文部科学省の教育課程部会教育課程企画特別部会で次のように定義されています。
『自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力』
つまり、
プログラミング教育は単にコンピュータが利用できるようになるだけの教育ではなく、問題を解決するためのひとつの手段として、プログラミング的思考を取り入れられるようになりましょう。
例えば、外国の方に物事を頼むとき、その国の言葉や習慣に配慮し、それを組み合わせ、意図した事をわかりやすく論理的に伝えることができるようになりましょう。
ということです。
なぜ、プログラミング学習が必修になったのか
1.社会のデジタル化
最近は、あらゆる局面において、パソコンが扱えることが求められています。子供の頃から触れさせておくことで、苦手意識を取り除き、新しい時代を賢く生き抜くための力をつけさせることが、狙いの一つでもあります。
2.社会のグローバル化
現代では、様々な国や地域の方や、様々なハンディキャップを持った方などとSNSなどで関わる機会が増えてきました。生まれが違えば、”常識”が通用しないこともあります。
そこで、どんな人にも誤解なく伝わるように、わかりやすく論理的に伝えるスキルが必要となります。状況を把握し、相手に自分の意図がきちんと伝わるように考えを整理し、わかりやすく論理的に伝える。
例えばその相手が人間なのか、コンピュータなのか、動物なのかの違いをはっきりと認識して、その相手に沿った形で自分の意思を伝える事のできる人材を育てることが狙いの一つです。
3.社会問題に対応できるように
人間に代わる問題解決の方法として、最近話題のAI(人工知能)。
これまでに起こったことであれば、AIがその蓄積されたデータから判断し、解決してくれる。そんな時代がやってきました。
とはいえ、人間社会にはAIに任せられない課題はいくつもあります。
差別をなくすにはどうすればいいか、新しいことと古いことをうまく調和させるにはどうすればいいかなど、AI任せにはできない問題にも、しっかりと現状を把握し、論理建てて考え、結論を出していく。これからの社会に必要な論理的思考を養っていく必要があります。
随分難しいことを書きましたが、平たく言えば、IT化に乗り遅れない、グローバルな人材を育てることを目的としているように感じます。私達障害者としても、IT化と障害に対する理解が進んで、在宅ワークなど無理なく働くことのできる環境が広がれば、活躍の場も増えていくことになると思います。
まだまだ一般的にはブラックボックス感の強いプログラミングですが、ますますデジタル化が進む今日、この教育を通してどんな未来が待っているのか楽しみです。