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「憧れの仕事に!」知的障害者への高等教育・進学の必要性

知的障害とは、発達期(おおむね18歳未満)までに知的機能の障害が現れ、同年代の平均的水準と比べ認知能力に遅れがあることが特徴。

多くの知的障害者は、高校に該当する特別支援学校卒業後、就労支援施設を利用したり、すぐ就職することが多い。その就職先は販売業・飲食業・店頭業務など様々だ。

しかし、高校卒業後の道に果たして「進学」という選択はないのだろうか。

知的障害者は進学する必要がない──これまで多くの人にそう思われてきた。知的障害者の大学などへの進学率はたったの0・4%(2014年3月卒)。大半の知的障害者は高校にあたる特別支援学校の卒業後、すぐに就職したり作業所などの福祉施設に入所したりする。進学する選択肢はほぼない。

知的障害者の就労に関して、問題になるのは早期離職率の高さだという。18歳で就職か進学か選択に迷うのは健常者でも同じこと。しかし、社会への適応に困難を伴う知的障害者が、むしろ健常者でも苦労する職場定着に18歳で挑戦するという選択肢しか用意されていない現状は、矛盾しているのではないだろうか。

そんな中、福岡県の社会福祉法人が知的障害者向けの4年制福祉施設「カレッジ福岡」を、2012年に設立した。今春は卒業生を輩出し、3人が職場に就いている。

カレッジ福岡の1期生、佐藤正啓さんは、文具などを扱う商社「レイメイ藤井」(本社福岡市)にこの春就職した。物流センターに所属し、倉庫から伝票の通りに商品を集めて出荷する「ピッキング」作業を担当している。
なぜこの仕事を選んだのか尋ねると、はにかんで「お父さんが同じ物流の仕事をしていて、憧れがあった」と教えてくれた。

知的障害者の保護者も高等教育の必要性を認識している。

全国障害者問題研究会の茨城支部が2012年に行った調査(特別支援学校に通う保護者578人にアンケート。回収率69%)では、高等部卒業後の進学は必要かとの問いに対して74%が「はい」と回答。理由は「子どもの発達がゆっくりであるから学びの期間も延長すべき」(52%)が最も多かった。

この調査を行った、全国障害者問題研究会の常任全国委員で元特別支援学校教員の船橋秀彦さん(61)によると、保護者からは「卒業後にもう少し教育の機会があれば大きく成長できるのでは」「健常者なら当たり前のように大学や専門学校に進学する時代に、障害者が18歳で社会に出るのは早過ぎる」などの声が聞かれ、「潜在的に障害者の高等教育へのニーズは高いと感じた」と話す。一方で、「現在の特別支援学校高等部はほとんど進路指導で進学の選択肢を提示しておらず、こういった要望はかき消される現状にある」と訴える。

障害者の雇用は長年の問題だ。採用しても早期に離職するケースも多い。カレッジ福岡の取り組みは、知的障害者の職場での社会性を育て、困難を乗り越える胆力を育てるものでもある。

知的障害者に限らず、職場において職業能力や専門性以上に必要とされるものが人間関係や社会性だ。

子どもから大人へ移行する青年期。高等教育を受けながら、学生から社会人としての自覚を身に着けていくのは健常者も障害者も変わらない。それなのに障害者だからその機会を得られないのは平等ではないだろう。4月に障害者差別解消法が施行された今、この問題に向き合うべきではないだろうか。

教育という裏付けを持って仕事に励む喜びを、知的障害者が自らの努力によって手に入れる仕組みづくりが2期生以降も続くことに期待したい。

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via:THE PAGE

 

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