いよいよ大詰めを迎えた2017年度卒の就職活動。既に内定を貰い、就職活動を終えている学生も多いであろう。
人材サービス会社ディスコの調査によると、大学4年生(理系は修士2年生を含む)の8月初旬時点での内定率は、すでに85.8%にものぼっている。前年同月比で18.5ポイントも高く、かなりの「売り手市場」といえそうだ。
しかし、そんな中、一社からも内定を獲得出来ていない「無い内定」の学生もいる。就職先を決めて活動を終了した学生は72.0%にのぼるが、それに対して「無い内定」の学生は14.2%も存在する。
このような学生は活動方針を見直したり、ギリギリまで粘り強く活動することも大事だと言われるが、燃え尽きて「就活うつ」を患ってしまう学生もいる。その前に立ち止まって考えてもらいたいことは「発達障害」の可能性だ。
最近、話題となっている「発達障害」であるが、これは一般的な人に比べて脳機能の発達のアンバランスさがあるがゆえに、日常生活に支障が生ずる状態を指している。
そもそも脳機能の発達は誰もが同じではないうえ、バランスが崩れているがゆえに特別な能力を発揮する人もいる。しかし機能のバランスが環境に合わないときには、多くの人が簡単にできることがうまくできないために「障害」という状態に陥りがちだ。
発達障害のある人は対人関係やコミュニケーションが苦手な場合が多いが、学生のころには学業に問題がなければ「ちょっと変わった人」「個性的」で済む。ところが就活のフェーズを迎えると、この問題が顕在化するのである。
発達障害者が、就活でつまずくポイントとは何か?
それは「面接」である。
[発達障害者が就職で直面する主な悩み]
・履歴書が書けない
・就職活動の手順が分からない
・自分がどのような職業に就きたいかはっきりしない
・何度も面接試験で失敗するため、落ち込んでやる気をなくしてしまう(出典:発達障害に気づかない大人たち)
— 発達障害/ADHD/アスペルガー症候群 (@asperger_adhd_) September 20, 2016
先にあったように、対人関係やコミュニケーションが苦手といった特性を持つ発達障害者は、面接を苦手とする人が多い。
尋ねられたことに対して、的確かつ簡潔に答えることが難しく、また、相手の顔色から感情や場の空気を読むことが求められるのに、それにうまく対応できず失敗してしまうのだ。
(コミュ障という言葉は嫌いだが、それがある種の発達障害を指すならば)面接用の会話や仕事の会話などはできても、「雑談」が極めて苦手・苦痛という人もいる。
https://t.co/HeVjIbEa0Q— シバショウゴ(田舎わたらひしける人) (@show5shiba) September 17, 2016
このようなことから、内定をもらえず困っている学生の中には、発達障害の人もいるのではと疑う声が大学の就職課職員からも多く聞かれるようになっている。
「内定を取れない学生の傾向を感じる」とも表現され、更には、日常生活を送る上で「整理整頓ができない」「物忘れが激しい」「じっと座っていることができない」「何かに熱中すると集中しすぎてしまい、周りが見えなくなる」といった行動特性から、例え面接をなんとかクリアして就職したとしても、職場でミスを連発し上司から叱られ続けるという結果を招いてしまうのではと不安視されているのだ。
それでも就活の中で、発達障害についてある程度の自覚を持つ学生に対しては、医療機関の受診を勧めることが可能だが、そうでない学生に対しては良いアプローチをすることが難しいという。
このようなことから、大学側で新たな取り組みが始まっている。
大学としては個々の学生に助言するだけでなく、コミュニケーションに困難を抱える学生向けを広く対象としたセミナーを実施するなど、自己受容を促し、自分の特性に気づかせる働きかけを行っている。参加者の中には保護者の顔も多く見られるそうだ。
自身の特性に気がつくことで、肩の荷を下ろすことが出来たり、また、新たなる選択肢を見つけることが可能になったりもするであろう。
自身が、発達障害を背負っているということを悲観する必要性は全く無いのである。
就職活動をはじめてから、面接で全部落ちて,その時初めて自分が発達障害である事に気づく若者も多そうだ。#あさイチ
— 公園の木の下(パルコキノシタ) (@paruchin) July 1, 2012
発達障害者でも、仕事には就ける。
むしろ、自分に合った仕事に出会えた場合、目覚ましい結果を残すことも出来るのだ。誰にでも、向き、不向きがある。時には自分を守ることも大切なのだ。
そうして「自らの特性」に気づき、向き合い、それを受容することで、新たなる可能性が広がった世界の中に生きることも可能であるのではないだろうか。
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