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新型コロナウイルス、企業が取るべき対応とは

従業員の安全確保を第一に考えましょう

中国の武漢で発生した新型コロナウイルスが猛威を振るい、その影響は世界に広がっています。日本国内でも感染が広がりつつあり、予断を許しません。

このような中、各企業はどのように対応をすべきでしょうか。

出張を控えてWeb会議の活用を

まずは、従業員が新型コロナウイルスに感染する機会を最小限にすることが必要です。

昨今は海外へ事業展開をしている企業も珍しくはありませんが、中国はもちろんのこと、不要不急の海外出張は控えるべきです。国内出張においても、交通機関や人混みでの感染のリスクは懸念されますので、なるべく出張を控えるのが望ましいです。

出張を控えるかわり、Web会議を活用してみてはいかがでしょうか。ひと昔前は、大がかりな設備投資をしなければオンラインで会議をすることはできませんでしたが、現在はSkype、Whereby、zoomなど、インターネットに接続しているパソコンさえあれば、無料ないし低コストで、簡単にWeb会議を行うことができるサービスが多く登場しています。

従業員の安全の確保だけでなく、コストの削減という観点も踏まえ、この機会に、出張をWeb会議に置き換えることは、充分に検討の余地があると言えるでしょう。

時差通勤やテレワークを認めましょう

首都圏、阪神圏、名古屋圏などをはじめ、都市部では通勤ラッシュの混雑は大変なものです。もし、満員電車の中で、新型コロナウイルスの保菌者が近くにいたとしたら、感染リスクは否定できない状況です。

そこで、通勤による感染リスクをできるだけ低減させるために、ピークの時間帯を避けて、従業員に時差出勤を認めることは合理的な経営判断と言えます。

また、パソコンを利用してのデスクワークが中心の職種の場合は、必ずしも出勤をしなくても仕事を進められることも多いでしょうから、通勤自体を行わなくて済むように、テレワークを認めるということも感染のリスクを避けるのには効果的です。

テレワークを行うことができるように、会社のIT環境を整備したり、クラウド型の業務ソフトを導入したり、ペーパレス化を推し進めたりなど、検討してみてはいかがでしょうか。

接客業でもマスクの着用は認めるべき

小売店や飲食店など、顧客に対して現場での対応が必要な職種では、テレワークをすることはできません。このような職種の場合、マスクをつけての接客を認めるべきです。

企業には、雇用契約に付随する義務および、労働安全衛生法上の義務として、従業員を安全に就労させる義務があります。

確かに、マスクをつけての接客は、顧客に対して失礼に当たるという考え方もあるかもしれません。しかし、従業員の健康を危険にさらしてまで、行わなければならない接客は無いのではないでしょうか。

世論でも新型コロナウイルスの危険性は認識されていますので、顧客のほうも、マスクを付けての接客を不快に思うことは無いでしょう。逆に、企業側がマスクを付けることを禁止していて従業員が新型コロナウイルスに感染した場合、企業側に損害賠償責任が生じる可能性も否定できません。

出勤停止命令

不幸にも従業員に新型コロナウイルスへの感染者が出てしまった場合は、たとえ症状が出ていなくても、企業内感染を避けるため、治癒が確認できるまでは出勤停止にしてください。

政府は2020年1月28日、新型コロナウイルスを感染症法に基づく「指定感染症」とすることを閣議決定しました。正式には政令施行後となりますが、これにより就業を制限することができる法的根拠が成立し、また、企業は休業手当(平均賃金の60%以上)を支払う必要もありません。

この点、実務上の対応としては、本人との話し合いを経て、有給休暇を取得して休んでもらうということが現実的な対応になるのではないでしょうか。

なお、家族に感染者が出た場合や、中国からの帰国者を一律に出勤停止にするような措置を取る場合は、休業手当の支払が必要となります。

まとめ

新型コロナウイルスを完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、各企業が積極的な対応をしていくことが必要です。その結果として、従業員への感染を最小限に抑えることができれば、企業としての業績等への影響も、最小限に抑えることにつながるのではないでしょうか。

 

プロフィール

榊 裕葵(ポライト社会保険労務士法人代表)

大学卒業後、製造業の会社の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。その後、社会保険労務士として独立し、個人事務所を経てポライト社会保険労務士法人に改組。マネージングパートナーに就任。勤務時代の経験も生かしながら、経営全般の分かる社労士として、顧問先の支援や執筆活動に従事している。また、近年は人事労務freee、SmartHR、KING OF TIMEなどHRテクノロジーの普及にも努めている。

主な寄稿先:東洋経済オンライン、シェアーズ・カフェオンライン、創業手帳Web、打刻ファースト、起業サプリジャーナルなど

著書:「日本一わかりやすいHRテクノロジー活用の教科書」

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