中国・武漢市への渡航歴のない男性の感染が確認される
厚生労働省は28日、国内で初めてとなる新型コロナウイルスによる肺炎の”人から人へ”の感染を確認したことを発表しました。これまで国内では”人から人へ”の感染は確認されていませんでしたが、事態はより深刻になりつつあるようです。
5人目の感染者は”人から人へ”の感染
国内5人目の感染が確認されたのは、奈良県在住の60代男性。武漢市への渡航歴はないため、”人から人へ”の感染であると断定されました。男性は、1月8日〜11日と12日〜16日に武漢市からのツアー客を乗せたバスの運転手でした。
14日に咳や関節の痛みといった症状が出はじめ、17日に医療機関を受診。その時の検査では異常が見つからず、経過観察に。しかし、症状が悪化したため25日に再度受診し、そのまま入院したということです。
「スーパースプレッダー」出現の懸念
スーパースプレッダーとは、感染症を引き起こす病原体に感染した者(ホスト)のうち、通常の想定以上の二次感染を引き起こす感染者を指します。
ひとりで多くの人(10人以上)へ感染を拡大させるため、この存在は大きな脅威となります。この感染拡大は新たなスーパースプレッダーを生み出し、更なる感染拡大の連鎖を作り出す可能性があるため、爆発的な感染拡大も危惧されます。
中国では新型コロナウイルスについても1人の患者から14人の医療関係者に感染したという例が報告されています。武漢から多くの人が訪れている日本、特に都市部、観光地などの人の集まる場所は、スーパースプレッダーがいつ現れても不思議ではありません。
そのほか新たに2人の感染者も確認
奈良県在住の男性のほかにも、新たに2人の感染者も確認されました。いずれも観光のために日本を訪れていた武漢市在住の40代男性と40代女性で、それぞれ愛知県と北海道で発熱の症状が出たため医療機関を受診。検査の結果、新型コロナウイルスの感染が確認されました。
新型コロナウイルスもインフルエンザと同様に咳やくしゃみによる飛沫感染でも拡散すると考えられています。”人から人へ”の感染リスクの高まりが懸念されますが、今のところ特効薬やワクチンはまだありません。
今はこまめな手洗いやアルコール消毒による感染予防と、咳やくしゃみが出る場合はマスクの着用やティッシュ(ティッシュ等がない場合は二の腕など)で口と鼻を覆うといった咳エチケットによる拡散予防に努めることが大切です。