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F1ロバート・クビサ選手、大事故からの復活劇に学んだこと

腕に障害が残ってもF1の世界にドライバーとして復帰できた凄さ

筆者の趣味はF1グランプリ観戦です。最近はフジテレビで放送しなくなってしまったので、スカパーを契約して観戦しています。

筆者の父親も自動車が好きで、子どもの頃に、鈴鹿サーキットに連れて行ってもらったのはとても良い思い出です。

ロバート・クビサ選手の事故と復活

2019年のグランプリを振り返りますと、やはり、メルセデスのルイス・ハミルトン選手が、あのミハエル・シューマッハ選手の持つ大記録に、あと1回に迫る、6回目のワールドチャンピオンに輝いたことが最大のニュースでしょう。

そして、F1を応援する日本人にとっては、レッドブルと組んだホンダが、マックス・フェルスタッペン選手の力強いドライビングで、シーズン3勝を挙げたことも印象的であったと思います。

しかし、筆者が2019年のシーズンで最も印象深かったのは、ロバート・クビサ選手の復活劇です。

クビサ選手は、2006年にF1に初出場したドライバーで、2008年のカナダグランプリでの優勝を含め、たびだび表彰台を獲得してきた実力派のドライバーです。名門チームであるフェラーリのドライバーに就任することも噂されていました。

ところが、彼の運命は一変することになります。

それは、2011年2月6日の大事故です。クビサ選手は、F1以外ではラリーで走ることを好んでおり、この日、イタリアで開催されていたラリーイベントに参戦をしていました。

このラリーイベントで、彼は運転ミスをしてガードレールに突っこんでしまい、右腕の複雑骨折、左手、足などの単純骨折含む重傷を負い、病院に搬送されました。

とくに重傷であった右腕は、切断の可能性も検討されましたが、7時間の手術のうえ、かろうじて温存することに成功しました。しかし、クビサ選手の右腕には障害が残り、可動域に大きな制約を受けることになってしまいました。

それでもクビサ選手は諦めず、リハビリや何回もの手術を経て、2012年9月2日にイタリアで行われたラリーでレース復帰を実現し、復帰戦でなんと優勝を果たすのです。

リハビリや再手術を経ても、腕の可動域や指の動きに少なからずの制約が残る中での優勝でした。

そして、2017年頃からはテストドライバーなどとして、少しずつF1への復帰の準備もはじめていました。2019年3月には、ウイリアムズの正ドライバーとなり、ついにF1へ完全復帰し、フルシーズンを戦い抜いたのです。

2020年は、残念ながらウイリアムズの正ドライバーを外れ、アルファロメオのリザーブドライバーということになりますが、引き続きF1の世界に関わり続けることになっています。

クビサ選手からもらった勇気

筆者は、クビサ選手がF1の2019年シーズンを走り切ったのを見て、大いに驚くとともに、大いに感動しました。

現在の自動車は専用の装備を付ければ、手や足に障害がある方でも運転をできるようになっています。しかし、単に運転ができるということではなく、F1という、世界最高峰の自動車レースに復帰を果たしたクビサ選手は本当に凄いと思いました。特別な仕様のステアリングを用いて左手70%、右手30%で操作をし、F1マシンをしっかりコントロールできているということです。

クビサ選手本人の努力はもちろんのこと、周りの人のサポートもあってF1への復帰ができたのだと思いますが、怪我や病気でハンデを負っても、諦めなければ、自分のやりたいことへのチャレンジができ、それを実現できるのだということを教わった思いです。

筆者自身も、いつどこで怪我や病気をするか分かりません。ですが、私自身も、今自分が生業にしている社会保険労務士という仕事が大好きなので、もし、病院から出られないようなことになってしまっても、ノートパソコンやクラウドといったツールを駆使して、可能な限り仕事を続けたいと思っています。

一般論としても

私に限らず、怪我や病気、そして、その結果障害が残ってしまうことは、誰にでも起こりうることです。しかしながら、本人が怪我や病気を乗り越えて社会復帰をしようとしているにも関わらず、不本意な形で仕事を失ってしまったり、再就職が難しいという現実は、残念ながらまだまだ存在します。

障害年金などの金銭的支援ももちろん重要ですが、金銭だけでは解決しない「生きがい」や「やりがい」も存在します。

怪我や病気になった人が再び働くことを応援する社会的理解が進み、そして、ハンディがある人が仕事をするのを支援するITツールなども誕生してくれば、見える景色も変わってくるのではないでしょうか。

 

プロフィール

榊 裕葵(ポライト社会保険労務士法人代表)

大学卒業後、製造業の会社の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。その後、社会保険労務士として独立し、個人事務所を経てポライト社会保険労務士法人に改組。マネージングパートナーに就任。勤務時代の経験も生かしながら、経営全般の分かる社労士として、顧問先の支援や執筆活動に従事している。また、近年は人事労務freee、SmartHR、KING OF TIMEなどHRテクノロジーの普及にも努めている。

主な寄稿先:東洋経済オンライン、シェアーズ・カフェオンライン、創業手帳Web、打刻ファースト、起業サプリジャーナルなど

著書:「日本一わかりやすいHRテクノロジー活用の教科書」

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