視覚障害者に「点図」で東京五輪・パラリンピック競技のイメージを
2019年3月12日に東京2020オリンピックスポーツピクトグラム、4月13日にパラリンピックスポーツピクトグラムが発表されました。誰にでもわかりやすく競技をイメージできるように作られたピクトグラムはとても工夫されています。競技の躍動感も感じられます。
東京五輪ピクトグラム発表 開幕まで500日 https://t.co/fKLyVB6KYE
#Tokyo2020 #あと500日 #500DaysToGo— zakzak (@zakdesk) 2019年3月12日
13日は2020年東京パラリンピック大会まで500日。競技種目を絵文字で表現する「ピクトグラム」が発表されました。パラアスリートが躍動する姿が描き込まれており、視覚障害者のためにピクトグラムを立体的に印刷したポスターも=樋口慧撮影 https://t.co/YwamhLjeaI pic.twitter.com/ADRQyq0bR9
— 日経 写真映像部 (@nikkeiphoto) 2019年4月13日
しかし、視覚障害者にとってはそうではなかったようです。立体的に印刷されたポスターが作られましたが、数は少なく、触れることができる方は限られていました。
鹿児島県視聴覚障害者情報センターのボランティア講習会に参加していた約40名が、2019年12月中旬、東京オリンピック・パラリンピックのピクトグラムを「点図」化しています。ピクトグラムの点図は、視覚障害者情報総合ネットワーク「サピエ」に会員登録してからダウンロードできるようです。
【障害者ニュース】触れて知る五輪・パラ競技 ピクトグラムが点図に 鹿児島の視覚障害支援施設 – 毎日新聞 / https://t.co/UY5zXD0bTP pic.twitter.com/MnlPQ52FUZ
— 障害者ニュース速報 (@syougai_news) 2020年1月3日
ピクトグラムの点図化
ピクトグラムは絵文字や絵単語とも表現され、ユニバーサルデザインのルーツともいわれています。ユニバーサルデザインはざっくりいうと、すべての人が可能な限り無理なく使えるデザイン。ピクトグラムは多くの人にわかりやすいものではありますが、それだけでは視覚障害者に情報は届きません。
ピクトグラムを立体化したのに
東京2020オリンピックスポーツピクトグラム、パラリンピックスポーツピクトグラムはすごく工夫されていて、競技の特徴をわかりやすく表現しています。でも、ピクトグラムを立体化したり、点字表記をしているポスターやボードを作ったのに、それが多くの視覚障害者には届いていなかったようです。
東京2020オリンピックパラリンピックの #ピクトグラム ボードが届きマシタ🌈
点字表記とピクトグラムを立体的に浮き上がらせる加工がされていマス‼︎
これからパラサポ内に展示される予定デス😊#Tokyo2020 #Olympics #Paralympics pic.twitter.com/rc4n48LL5n
— パラサポ (@parasapo) 2019年5月16日
パーツに分かれているとわかりにくい
ピクトグラムの点図化に参加した方の中で、頭と胴体などパーツが離れているとわかりにくいという意見がありました。単純にピクトグラムに合わせて点を並べるだけでは、触れて競技をイメージすることは難しかったようです。
今回の点図では、簡単な点字での説明を付け加えた他、競技に使う道具がピクトグラムで使われている場合、道具の名前も点字で表記されています。
多様性と調和というならば
東京2020大会のコンセプトのひとつが「多様性と調和」です。違いを肯定し、受け入れ、認め合うことを重要視しているわりには、詰めが甘い印象があります。
配慮をしています感だけでは
立体的なピクトグラムを作ったけれども視覚障害者の多くに届いていない現状では、無いのとさほど変わらないのではないかと思います。「多様性を認める」とか「共生社会」という言葉が東京2020が近づくにつれ聞かれるようになりましたが、配慮してます感だけでは結局何も変わらないのではないかと思ってしまいます。
配慮している中での取りこぼしは
多くの人がわかりやすいと理解されているピクトグラム。でも、視覚障害者にはその情報は届きません。表現が悪いかもしれませんが、配慮している中での取りこぼしは特にきついのではないかと思います。完璧は無理でも、できるところは修正しながら最大限に考慮する…この姿勢が必要なのではないかと思います。
目でも指でも読める点図を
視覚障害者は、ピクトグラムだけでは情報を得ることができません。立体的にしてもそれが届かなければ無いものと変わらないですし、単純に立体化したからといって簡単に伝わるものでもありません。
目でも指でも読める点字「Braill Neue(ブレイル ノイエ)」というものがあります。これは、視覚障害があってもなくても読める文字です。
目でも、指でも「読める」点字が注目を集めています。「ブレイルノイエ(ドイツ語で『新しい点字』)」という名の新しい書体です。考案したのは20代の若いデザイナー。視覚障害者との交流がきっかけだったといいます。https://t.co/eXAl4IiGLy
— 毎日新聞 統合デジタル取材センター (@mainichi_dmnd) 2019年7月14日
Braill Neue(ブレイル ノイエ)をヒントに、ピクトグラムと鹿児島県視聴覚障害者情報センターが今回作った点図をもう少し改良すれば、目でも指でも読める点図が作れるのではないかと思います。
誰もがわかりやすいを表現することは難易度が高いです。でも、そこを求めることは人間の尊厳を考えると大切なことだと思います。