障がい者の消費生活相談件数は9,187件
消費者トラブルに巻き込まれる障がい者が増えているという。平成28年度、障がい者の消費生活相談件数は9,187件。10年で倍増しているとのこと。
本人の理解不足や悪質な業者が関わるもの、障がい特性を理解できていない人の対応の悪さ、障がい者本人が起こしてしまったものなどさまざまなトラブルがあるようだ。
障がい者の消費行動と消費者トラブル事例集
消費者庁は2019年5月17日、『障がい者の消費行動と消費者トラブル事例集』をサイト上に公開した。徳島県と岡山県で行われた対面でのヒアリング調査をベースに作られたこの事例集は、障がい者本人や支援者が利用することを想定してつくられたという。
今後、消費者トラブルに巻き込まれない、また、起こさないためのツールとして参考になる部分はたくさんあると思う。
「消費者トラブルとして表面化しづらいことも多く、支援者の方が障がい者本人の様子を少しでもおかしいと感じたときや、障がい者本人が不安を感じたり困ったりしたとき、気軽に相談できる人が身近にいること、消費生活センター等を一層周知していくことが重要と改めて気付かさ https://t.co/uY9BEKhzxs
— のほほん堂🌹 (@nohohondo) 2019年5月20日
主な障がい者の消費者トラブル
『障がい者の消費行動と消費者トラブル事例集』では、主要な14事例、その他10事例が記載されている。
知的障がいでは
- 携帯電話販売店での契約
- 迷惑メールの対応
- スマホゲームの課金
- 電話勧誘と定期購入
精神障がいでは
- 訪問販売
- サービスの複数契約
- 占いサイトの課金
- お試し購入
発達障がいでは
- SNSから起こるトラブル
- 試供品の持ち帰り
身体障がいでは
- カツラの複数購入
- 購入の制限
- 光回線の解約
- 海外宝くじ
購入や契約の際のトラブルが、例として多く挙げられている印象がある。
4コマ漫画を用いてわかりやすく
主要な14事例は障がい者もわかりやすいように、イラストや4コマ漫画を用い、言葉の使い方も平易になるよう心がけたとのこと。
4コマ漫画があると状況がスッと入ってくる。タイトルも短くてわかりやすい。
ただ、色合いがちょっとボヤッとしていること、漫画の中のふきだしの文字が見にくいことが気になる。
この2点を工夫がしたら、もっとわかりやすい事例集になるではないかと思う。
障がい者の消費者トラブルを減らすには
冒頭で挙げた、障がい者の消費生活相談件数「9,187件」は氷山の一角だろう。相談できていないケースは多いと思う。
『障がい者の消費行動と消費者トラブル事例集』を活用してのロールプレイは有効だと思う。特別支援学校、デイケア、自立訓練事業所、就労継続支援A型事業所・B型事業所などで行うのもいいが、いつも顔を合わすメンツとはやりにくいという点も否めない。どこで、どのように行うかが課題だろう。
少し思いついたのは、NHKで放送されている「ストップ詐欺被害!私はだまされない」の障がい者の消費者トラブルバージョンをつくるのはどうか?
いわゆる“アポ電”。のあとに詐欺や強盗の被害にあうケースが相次いでいます。使い道がなんであれ、見ず知らずの相手に電話で手持ちの現金や資産の状況などを聞かれても絶対に答えないで、警察や家族に相談してください。「ストップ詐欺被害!私はだまされない(5/15)」https://t.co/q0fhhS52WF
— NHK@首都圏 (@nhk_shutoken) 2019年5月16日
障がい者の話題がニュースで報じられつつあるが、障がい者の消費者トラブルについてはあまりない世間で聞くことはない。でも、増加傾向にあるのは事実。自己破産まで追い込まれたケースもあるという。
経験した障がい者本人が経験を語ること、まわりにいる家族や支援者もこんなケースがあったと伝えることが、遠回りなようで、障がい者の消費者トラブルを減らす一番の早道なのではないかと思う。