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2024/11/10:フリーペーパーvol.104発刊!

高齢化日本の風景ファミレスおひとりさまシニア事情

高齢化日本の風景、ファミレスお一人さまのシニア客

家族で訪れ、特別な思い出をつくる場所だったファミリーレストランに、今ではそれほど多くの家族連れは見当たりません。大手ファミリーレストランチェーンは客層の変化を先んじて読み取り、今から6年前に130億円を投じて店内を大きくシニア向けに改装しました。以前は1人で入るのに抵抗のあったファミレスですが、今では気軽に入って飲食しやすくなっています。

ファミリーレストランのおひとりさま化

近ごろのファミレスは、1人で立ち寄り気軽に時間を使うための場としても楽しめるよう変化しています。

シニア1人客に合った内装

ボックス席は背の高い仕切りで囲まれ個室感覚で周囲の目が気にならないよう配慮されています。特にドリンクバーは、好きなだけドリンクを楽しめる割安なカフェとして学生の勉強スペース、資格学習に励むビジネスマンが1人で落ち着く場所としても便利な場所です。

割安なセットサービスを利用できるモーニングやランチの時間帯に訪れると、仲間でおしゃべりを楽しむグループですら、50代かそれ以上のシニア世代が中心です。行き場の無くなった定年退職者とテレビは特集しますが、シニア世代あるいはそれ以上の年齢層の客は、見ていて楽しそうです。団塊世代定年退職組のファミレス1人客は、それほどにも孤独が理由で来店しているのでしょうか。

1人外食

私がファミレスに通い始めたきっかけは、お会計から100円割引してくれる定期券を買ってみたことです。それまで滅多に行くことのなかったガストに、私はドリンクバー目当てで行くようになりました。ファミリーという名前が印象の強い場所でしたから、以前は1人で行くには特に抵抗がありました。

しかし、好き放題ジュースとコーヒーを飲んで、ずっと本を読んでやりたい放題に勉強できる環境はとても快適でした。できれば、トイレがもう少し近くて2カ所くらい設置され、1人で行っても荷物の盗難など気にしないで過ごせる環境なら、もっと良いと思いました。

シニア客増加の本当の理由

高い壁を隔てて、向こうでおしゃべりしている60代と思われる女性客3人組の話に耳を集中させると、子どもが海外の支店に勤めだしたからスカイプを始めたとのこと。

生き生きシニア世代

70代かと思われるおじさんが1人でランチして携帯電話で話してる内容に聞き耳を立てると、どうやらマンションを買ってしまったほうが家賃を年間200万も払うより安い、とか。とても景気のいい話です。

行き場のないシニア世代とテレビは特集しますが、団塊世代60代の方々って本当にそんなに行き場がないのでしょうか。行き場が無いとしてその理由は年齢のせいなのでしょうか。理由があるとすれば、それは時代に関係なく個人の事情や人格のせいにすぎないのではないでしょうか。

シニアの見識

そもそも、その世代の方々がそんなにも孤独に苛まれてファミレスに来ているようにも見えません。グレーのジャケットとハンチングのおじさんは、1人でも一生懸命に新聞を読むことを楽しんでいるし、本を開いて読書するなりペンを握って勉強するシニアもいます。

おそらく60代くらいと見られる女性客は、1人ソファーにもたれタバコを吸いながら窓の外をゆったり眺め、解放感を楽しんでいる様子。禁煙席の女性シニア3人組は、おしゃベりの内容もショッピングモールのお得なアプリの登録方法だったり、孫へのプレゼントは子ども夫婦への干渉になるから私はもう身を引こうと思うの、という内容だったり。けっこう社会的なテーマが話し合われています。

孤独という概念はとても評価が難しく、本来、他人が決めることは不可能なものです。ステレオタイプなメディアの報道に左右されず、自分で観察してみると60代のシニアなんてまだそれほど孤独そうにも写らないことが分かります。

孤独ではなく静寂

自分のやりたいことに、時間の制約を受けずに没頭できることは幸せです。そのためには、1人で過ごせる静かな空間が必要となるでしょう。

貴重なおひとりさまの時間

ファミレスは行き場の無さを見越してシニア向けの改装をしたと報じられていて、それは一面的には当たっているでしょう。

しかし、シニアがファミレスの利用を増やした背景には、することがないとか孤独だとかいうよりも、ファミレスの肩の凝らないいい意味での安っぽさがとても快適で、誰にもどの組織にも束縛されない自由な時間を楽しむために適した場所だったからという理由があると思います。

ファミリーレストランは、そんなこと始めから分かっていて改装をしたのかもしれません。いずれにしろ、改装計画はビジネス的に世相を捉えていて、結果として的確なものとして現代日本に受け入れられました。ファミリーレストランは、次にどんなビジネスプランを立てているのでしょうか。

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