発達障害を持つ人への配慮がより増えますように。
私は発達障害者です。発達障害者は、五感に対して過敏性を持っていることが多く、私の場合は聴覚と視覚の過敏性を持ち合わせています。そうなると、普通の人が平気で足を運べるところへ行けなくなることがあるのです……。
私の聴覚過敏と視覚過敏
聴覚に関しては、日常的に外に出ても、人の話し声がごちゃごちゃに聴こえ、街を走る車のエンジン音、店内のアナウンスなどなど……。とにかく街の喧騒が耳を刺して、まるでハウリングを体感しているような感覚になってしまい、大混乱。なので、いつも耳栓を着けて生活しています。
視覚は、光に苦手意識を抱いています。強いライトを見ることがキツく、もちろんカラオケなどには行けません。ただしんどいだけです。
光は視覚的で、身体的には何も関係が無いはずなのに、強い光を見ていると、身体が重だるくなって、手足や腰が痛く感じるようになってしまう。我ながら不思議です。
そうなってくると、音も大きいし、光もビカビカとしている映画は、当然観ることが出来ません。
映画館は発達障害者に対して優しくない
まだ発達障害であると診断される前。子供の頃、暗い映画館という閉鎖空間の中、迫力のある映像が流されることで、何だかドキドキして、不安な気持ちになったり、そして酷い時は恐怖感を感じ、途中で出てしまうことがありました。学生時代も、誰かと一緒に映画を観に行こうという話になっても、気乗りすることが無かったのです。映画館の中で、ボーッとして過ごしていたように思います。
そうして月日を重ねる中で、技術が進歩し、映画が大迫力になっていくのに合わせて、なおさら映画館に足を運ぶことも無くなりました。
その為に、私は映画の上映方法に苦痛を感じるだけなのに、観たい映画をリアルタイムで見ることが出来ません。その映画がDVDになって発売されるまで、待つことになるのです。
初めて知った!「センサリーフレンドリー」って何?
そんな中で「センサリーフレンドリー」という言葉を知りました。
これは、映画を見る際に、通常の上映環境より、場内照明を明るく、また音響は控えめにして上映するもので、上映中に動きまわったり、声を出してもOK、また入退出自由。私にとっては、最高の環境で映画を見ることが出来ます。
発達に障害を持つ人は、私のように過敏性を持つことが多いし、また、集中して、その場にじっと座っていることに苦痛を感じる人もいます。
一般的な状況下で映画を見ることが難しい私たちに、きちんと配慮をして、考えられた上映方法なのだろうと思います。
先日、東京と大阪で、この形での上映会があったようで、そこで放映されたのは、
「500ページの夢の束」という映画でした。
あらすじは、コミュニケーションを苦手とする、自閉症のウェンディという少女が「スター・トレック」というドラマの脚本コンテストで自ら脚本を書き、それを届けるために一人旅に出るというハートフルストーリーです。
沢山の人にこんな配慮を届けてほしい!
この上映会は、東京、そして大阪という大都会で行われました。
更には、1回だけの放映だったそうです。
ですが、こんなに素晴らしい上映方法があるなら、それを全国的に普及させてほしいです。観たいのに観れないというジレンマを感じてしまう人にとって、このような配慮が出来てくるようになれば、発達障害による苦しみを抱えている人にとって、より良い社会になるように思います。
「自閉症の主人公」ということで、センサリーフレンドリーでの上映会があったのだろうと思いますが、これを取り入れた映画の上映が増えていくことを願います。