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2024/12/10:フリーペーパーvol.105発刊!

ハラル・ベジタリアン食をAIが判定―ドコモアプリ試験提供

ムスリム、ベジタリアンに朗報、検索無しで食べられる商品が判別できるドコモのアプリ

訪日外国人客(インバウンド)の増加にともない、宗教を背景とした食の制限に悩まされる例が増えています。イスラム教徒(ムスリム)が豚肉やアルコールを飲食してはならないことも、少しずつ知られ始めています。

ベジタリアンであれば肉類を食べられませんが、乳製品や魚介類などについてはさまざまなルールが存在し、同じベジタリアンであってもさまざまな種類に分類されます。一見食べられそうな製品が、実は禁止となっている食材を含んでいることもありますし、本当は食べられる製品なのに成分表の情報がはっきりしないために諦めることもあるでしょう。

NTTドコモは9月26日から12月31日の期間で、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどに陳列された商品が、ムスリムやベジタリアンにも食べられる商品であるか映像で判別する「食品判定システム」の試験提供を開始しました。

AIアプリの機能・利便性

ムスリムたちが、日本のスーパーやコンビニに並んでいる商品の成分を判別するとき、通常はパッケージの成分表を参照します。

成分とにらめっこ

大半の製品は成分が日本語で表記されていますから、日本語を読めない外国人たちはアプリで翻訳しながら、一つひとつの単語を確認します。たくさんの成分がびっしりと記入された成分表を目にして「ムスリムやベジタリアンはこれをいちいち翻訳して買うのか」と、日本人である私はうんざりしてしまいます。翻訳の結果が必ずしも完璧なものとは言い切れないし、成分表の内容が、普段は見慣れない専門用語の羅列であったりするからです。

AIが自動判別

ドコモ独自のアプリは、「商品棚画像認識エンジン」により、店舗の棚に並んでいる状態の商品をスマホのカメラで撮るだけで、ハラルやベジタリアンに対応した商品であるか判別してくれます。商品の原材料データと食品の禁忌情報を参考に、AIが判断してくれるのです。

ハラルとはなんですか?

日本でもよく知られている「ベジタリアン」については、もはや用語の説明は不要かと思いますが、「ハラル」という言葉にまだ馴染みのない方に少しだけご説明します。

ハラル食品の説明

「ハラル」とは、言葉の意味としては「許された」というものです。ハラル食品は「許された食品」ですね。では、どのような人たちがハラル食品を食べるのかというと、イスラム教徒の方たちです。イスラム教を信仰している方たちのことを「ムスリム」とも呼びます。

ハラル食品と非ハラル食品

では、何が食べられて何が食べられないか、ということですが、それを今この場できちんと説明すると、ものすごく長い文章になってしまいます。おおまかに言うと、食べられない食品として有名なものには豚肉とアルコール(お酒)があります。食べられないだけでなく、例えばアルコールや豚由来の成分が入った化粧品などを使うことも許されません。

ハラル・ベジタリアン向け食品判別アプリに期待できること

今回試験提供されたアプリが普及することで、いったいどのようなメリットが生まれるでしょう。

ムスリム、ベジタリアンへのメリット

一つひとつの商品を、細かく成分を確認しながら選んでいる手間を省くことができます。余計な手間と時間が省けますから、余った時間を仕事や学習などの生産性の高い作業に振り分けることができます。さらに、食事をもっと開放的に楽しむことができるようになるでしょう。「はたしてこれは本当にハラルな食べ物だろうか?」という、懸念を抱きながら食べる必要がなくなります。

日本の産業が受けるメリット

それまで購入がためらわれていた商品も迷いなく買われていくのですから、食品会社は製品の販売実績を向上させることができます。メーカーの食品会社だけでなく、小売店つまりスーパーやコンビニの売上にも貢献するはずです。アプリが映像で判別してくれますから、店員が専門知識を持つ必要はなくなります。居住者にせよ一時的なインバウンドにせよ、日本におけるムスリムやベジタリアンの人口は増加していますから、彼らを顧客として取り込む効果も期待できるでしょう。

ハラルAIアプリまとめ

アプリのAI機能は今後さらに精度を高め、さまざまな製品や調理済みの食品にまで判別能力を拡大するかもしれません。少なくとも個人の調査能力だけが頼りだった以前に比べれば、現在の性能でもはるかに便利なものといえます。

日本は風土にも食文化にも多くの観光資源を持ちます。最先端技術と歴史の両方をあわせ持つ国が日本ですから、旅行先として日本を希望する外国人はあとを絶ちません。今回提供されたAIアプリの技術が「試験提供」にとどまることなく、さらに発展する形で産業に貢献していく様子を見守っていきたいですね。

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