fbpx
2018.10.10:フリーペーパーVol.31発刊!

超ロングドライブの思考

 

車の運転は出来ないが、ドライブが好きだ。
備え付けではなく、私の部屋から持ちこんだ据え置き型のスピーカーから音楽を流して、流れていく景色を眺める。そうやって、黙ったままぼんやりしている時もあれば、考え事をしていることもある。助手席に座って、運転手にずっと話しかけている時もある。「今日はロングドライブだよ」と言われると、幸せな気分になるのだ。

子供の頃は、ドライブが嫌いだった。
暇だし、確実に車酔いをするし。窓を開けて、外の空気を吸っていた。
まるで閉じ込められたかのような環境の中では、外の空気の方が美味しかったのだ。そして、車の中で感じる、独特な無の時間が怖かった。

けれど、今はそれが好きだ。

無の時間の中でないと、考えられないことは沢山ある。
先行きの見えない将来のことだったり、もう過去になってしまったことを、ゴミ箱行きにするかしないか。あ、今の景色、綺麗だったなあ。陽が昇って、落ちるまで。その時間の速度。

そうやって色んなことをほじくり返しながら、今度はこんな話を書きたいと思うこともある。けれど、それを一瞬で忘れてしまうこともあるから、思いついたことはすぐにスマホのメモ機能を使って保存しておく。

こんなことをしていると、大したことがなくても、日々は忙しいんだなあと感じる。だって、車の中では、こんなにどうでもいいことを考えていられるから。

音楽の歌詞を、普段よりも意識出来ることも良い。BluetoothでスピーカーとiPodを繋いで、その時の気分で曲を選ぶ。
何でもいい時はシャッフル。ずっと聴いていなかった曲が流れると、こんな曲を聴いてた時期はあの頃だったなあと思い出せることもある。逆に新鮮なのかもしれない。

下道を走ると、遠くに見えた景色がじわじわと近づいてくる。見えていた雲をどんどん追っていく。それでもいつの間にか雲の形が変わってしまっていたりして、やっぱり遠いものは遠いんだなと思う。だからこそ高速道路を走ると、距離の感覚がおかしくなる。向こうに見えていた景色がいつの間にか過ぎ去っている。それに高速道路を走る時は、タイヤの音がうるさい。その時は事前にスピーカーの音量を上げておくのだ。

ビュンビュンと走る車たち。どこへ行くの? と聞くことは当然出来ない。

私だって、どこへ行くのだろう。目的地は知っているけれど、この思考はどこで終わるかな。
私はどこまでも行きたい。流れる景色と流れる音楽。止めたくないこの思考の時間。
何もしないまま未来に見えた道が過去になる。

大丈夫、よっぽどのことがない限り、私は助手席で眠らないから。

今日も「どこまでも」を願う。

↑毎日Twitterに短編詩を投稿しています。興味のある方はフォローをお願いします!