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障害者雇用率水増し問題[前編]なぜ国は障害者を雇わない?

障害者雇用率水増しの中央省庁を反面教師に、民間企業が心がけること

民間企業の見本となるべき国の中央省庁で、障害者雇用率が法律で定められた数値を大幅に下回っていたことが判明しました。

当初明らかとなった国土交通省と総務省に加え、調査をすすめるにつれその他多くの中央省庁が法定雇用率2.3%(2018年4月から2.5%)以上を満たしていなかったことが分かってきました。

障害者認定

障害者の認定については「障害者手帳を保持している」ことが主な基準とされています。

水増しの方法

しかし、障害者として算入された人のなかには、障害者手帳の発行されない通常の病気である人が多くいました。その際、外見では障害者なのか判別しにくい弱視や難聴などの条件を多く利用していたとのことです。

これにより、国の中央省庁は、外局も含めた下部組織まで含めると27の機関による水増しが判明し、立法4機関、裁判所などの司法機関、地方においても多くの府県や政令市、市町村、警察などで、法定雇用率に満たない障害者採用の水増しが確認されました。

なぜ障害者を雇わない

正しく計算すれば当時の法定雇用率の半分にすら届かない組織も多く存在しました。これら障害者雇用の実態を知ったHIFUMIYO TIMESでは、多くの障害を持つ仲間から「なぜそうまでして障害者を何が何でも雇いたがらないのだろう?」という素直な疑問の声が上がっています。

雇用率2.2%自体がそもそも低すぎる

障害者雇用率には数値としての規定があり、全従業員数のうち民間企業で2.2%以上、国や地方公共団体で2.5%以上、都道府県などの教育委員会で2.4%以上の障害者を雇用しなければならないことになっています。

2.2%という勝手な数値

障害者雇用率が2.2%ということは、1,000人の従業員がいればそのうち22人が障害者ということになります。すべての企業が従業員を1,000人も抱えているわけではないので、社員200人なら5人、100人なら3人が障害者でなければならないということです。

こうして実数で見てみると、それでもたったの2.2%なのかと感じざるを得ません。しかも、多くの行政機関、民間企業では、これっぽっちの人数すら満たされていないのが実態です。

都合のいい採用手法

つまり、罰金を払ってもいいから、何としてでも障害者を雇用しないことを企業は望んでいるということです。さらにそれも、罰金を払って(正当に?)障害者を雇用していない企業の例です。

今回、中央省庁のしたことは、罰金を逃れたうえにさらに障害者を雇わず、しかも障害者でない人を障害者として申告した、といった3重にも不正が重なった例とも言えるものです。

当初は国土交通省と総務省の名前が出ましたが、その後の調査で多くの中央省庁が障害者雇用率水増しを行っていたことが明らかとなりました。

2.2%の障害者すらうまく使えない経営者

障害者が職場に入ってくると経費もかかるし、上司を含む他の社員などは若干の気遣いを必要とされます。

バリアフリー

バリアフリーの環境を整備するには、現在のエレベーターを設置し直す必要もあるかもしれません。障害者個人に対しては、業務の細かい分割と連絡事項がさらに増加することも予想されます。

それは確かに、多くの経営者にとって面倒くさいことでしょう。

障害者雇用はあたり前

ですが、障害者の社会参画は今後、時が経つにつれ広く浸透していくでしょう。現在までの障害者雇用に関する国の方針の変化を観察すれば、障害者雇用に関する規制は、健常者との隔たりをなくす方向へと改善されていくことが想像できます。

障害者雇用を今は懸命に避けている経営者も、今だけ障害者の雇用を避けたところで、将来どこかの時点で必ず障害者を雇用する義務から逃れられなくなるであろうことは、目に見えています。―

※後編「障害者雇用率水増し問題[後編]障害者を労働力として活用する方法」へつづく(本日18時公開予定)

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