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国はどう謝罪?旧優生保護法が奪った数多くの女性たちの希望

「障害者は生まれないほうが幸せですか?」旧優生保護法はたくさんの命の可能性と女性の健康な身体を奪った

障害者を中心に子孫の拡大を防ぎ優良な子孫を残すためとし、国による合法的な不妊手術が行われました。

戦前の「国民優生法」が改正され、1948年に制定された旧優生保護法。

当時、戦争が終わり民主国家設立も期待されるさなか、なぜ悪法は継承されなければならかったか。

いま、全国で旧優生保護法により不妊手術を受けた被害者たちが、訴訟の声をあげ始めています。

旧優生保護法とは?

旧優生保護法とは、一体何なのでしょう。人の出生を国が操作することを合法化する法律とは?

旧優生保護法と優生思想

優生思想とは何かを理解するためには、まず「優生学」という言葉から理解しなければなりません。

優生学は、1883年、イギリス人のゴルドンという人物が唱えました。優生学は、統計学の手法を利用して遺伝的に優良なものを探し出す科学として発展しました。

この学問は、ダーウィンによる「種の起源」が語るところの「自然選択」と強い関連のある思想です。

逆淘汰現象

戦後日本では、福祉が発展することで自然選択により淘汰され、本来なら現象するはずの不良な種が、保護されることで繁栄し、優れた種が逆にその割合を減らされるとの考えがありました。

このような現象が「逆淘汰理論」と呼ばれ、旧優生保護法を正当化する理論の一部として利用されました。

断種手術

ある女性は16歳で、記録に残るものとしては10歳に満たない女性というより少女は、国によって合法化された悪法にのっとってメスをいれられ生殖能力を奪われました。

本人が望んでいたのか?

本人には何も知らされないまま、手術は勝手に実行されました。終わればもう、取り返しのつかない身体にされていたのです。

手術が本人の同意も無いまま行われていたことは事実で、その賠償は金銭で埋め合わせの効くものですらありません。

「被害者の女性を、当時の年齢まで戻し、手術によって切られた身体を元の状態に戻せ」というのが本来の償いでしょう。

しかし、それは絶対にできません。いったい、国はどのように辻褄をあわせるのでしょうか。

優生思想そのものの間違った把握

国は、都道府県の優生保護審査会を通じて国民に、優生手術申請書、同意書、健康診断書などを提出させ、遺伝的な優劣を把握しようとしました。

その中には、遺伝病や犯罪者なども家系図などとともに提出させることがありました。

優生思想という学問自体が、科学にもとづく遺伝的見地からも、正しく判断されていたとは言い難い状況でした。

優生保護法

人間を値踏みするような旧優生保護法は、「障害者は生まれない方が幸せ」との思想に基づき、手術により多くの女性に不妊手術を強制しました。

その結果、10代にして強制的に生殖能力を奪われる女性が多数被害に遭いました。

本当の目的

国は、優勢保護とのことばに隠れ、戦争によって失った満州や朝鮮半島から引き上げた日本人の引き揚げ先に困っていました。

人口は当時で8000万人程度が見込まれており、狭い国土での人口調整に、国は大きな関心を持っていました。しかし日本には堕胎罪というものが存在し、中絶を合法化する言い訳が必要だったのです。

優生保護法は、そのための都合の良い代替手段として、利用されたことも考えられるものです。

優生思想的にも遺伝学的にも、増加する人口を収容する地勢的見地から見ても、なにより「生命に良と不良を区分けする」といった倫理的見地から見ても、まったく認められる余地など微塵もない悪法が、旧優生保護法と言えるでしょう。

ETV特集で詳しく

本日7月22日23時からNHK Eテレ、ETV特集で、「私は産みたかった〜旧優生保護法の下で〜」が放送されます。

この悪法によりどれだけ残酷なことが国の名のもとで行われたか、被害者の女性たちがどれほど血のにじみ出るような苦しみに遭ったのか、悔しさに何十年も苦しみ続けたかが、明らかとなるでしょう。

現在は高齢となった多くの女性の被害者の方たちの声を、私たちは同じ時代を生きるものとしてしっかり記憶に留めておかなければなりません。

7月21日(土)23:00〜24:00
NHK Eテレ
ETV特集「私は産みたかった〜旧優生保護法の下で〜」(番組情報へのリンク)

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