ご意見コーナーが店内の隅っこでは落ち着いて書けません
私は、食品を調達するため、頻繁にスーパーマーケットを利用します。食品スーパーへ行く目的は必要な食材を入手することです。商品が充実して価格が安ければ、スーパーの機能としてはそれで十分なはずです。
目的を商品に特化させる一方、消費者がスーパーへの評価を決める重要な要素に店員さんがあります。
広い店内のどこに目的の商品があるのか、たずねたときに笑顔で親切に説明してくれる店員さんもいれば、どれだけ声をかけても振り返りもしない店員さんもいます。
そんなとき一言、客としての要望を伝えるために意見箱というコーナーが、大きめのスーパーならだいたい設置されています。
しかし、ご意見箱と用紙がセットで配置されている場所が、買い物客が落ち着いて自分の意見を文章にまとめるために相応しく選ばれているとは、とうてい思えないのです。
要望を聞いてもらえるかも。
スーパーなどのご意見箱への投稿 客の要望は反映されているのか | しらべぇhttps://t.co/6AZhRDzHqJ @sirabee_news #ご意見箱 #スーパー #クレーム pic.twitter.com/aYfu6yfrWj— ニュースサイトしらべぇ【公式】 (@sirabee_news) 2018年7月1日
ざっくり
すべてが終わった後という場所的な問題
私がよく利用するスーパーの、ご意見箱が置かれている場所は、店の出入り口付近にあります。
そこは、まだ買い物する前の入り口付近であり、買い物が全て終わった後の出口付近ということになります。
問題の発する前か、あと少し進めば用が終わる場所
ご意見箱の配置に関する一番の問題点は、その位置が最も活発に商売が行われる店内中心部ではなく、買い物が一段落ついて後は外に出るだけの出入り口そばにあるという点です。
買い物客が店内で抱く疑問、要望、違和感を、思いついたその場ですぐ紙に書く環境がではないところが、問題といえます。
意見が生まれたばかりでまだ熱く、伝えたい言葉もたくさん頭に浮かんでいるうちにすべてを書き記してもらうことが、店にとって最も多くの意見を得る方法だと思いますが、それが出来ないような配置になっているわけです。
買い物が終わってお金も払って、あと5メートル進めば店の外に出られるという状況で、そのうえで自分の意思を強く持って背後から他の客の視線まで集めるような場所で嫌な思いまでして集中して文章をまとめなければならないような状況に客が置かれるような場所に意見箱を配置することで、
「書くのも面倒くさいし、買い物に来ているご近所の目もあるし、文章書くのは自分は苦手だし、どうせ何言ってもモンスター◯◯って言われてしまう世の中だし、今回も我慢しよう」という、客側の妥協を引き出しやすく意図して配置しているかのようにさえ、思えます。
これときどき最寄りスーパーのご意見箱で似たようなことやってる。
だってご意見の大半が「恵方巻きの割引率が悪い」とか意味不明の物ばっかりなんだもん。しゃきしゃき対応してくれてる店員さんのやる気が削げるのほんといやだ。 https://t.co/qMWNxrfRNv
— ano(固定ツイ見て頂けると嬉しく… (@yu1_48) 2018年6月21日
ご意見をメールフォームで送る
そこで、自分の声を店の経営責任者レベルまで届けるために少しでも効果的な方法を選ぶなら、そのスーパーのホームページにあるメールフォームから、自分の部屋で落ち着いて大切な文章をまとめるといいでしょう。ざわついた落ち着かない店の入口近辺より、しっかりとした文章が書けるはずです。
浮き彫りとなる企業のカスタマーサービス体力
少なくとも、要望を投函した店舗までで意見が止まってしまうという恐れは回避することができるのではないでしょうか。
ご意見箱には、投函した文書がその後どのような経路をたどって最終的に誰まで届くのか明記しているチェーンもあれば、その点について記載されていない店もあります。
うなぎのスーパーの販売ほんとに理解できない…
普段意見カードなどは書かないけど、カッとなって書いてしまった…なんでうなぎを安売りする必要があるんだ…
専門店で食べればいいじゃん…
( ・᷄д・᷅ ) pic.twitter.com/5TZxDBociH— nyororo (@nyororo) 2018年7月20日
意見=モンスター、ですか?
手掛かりが無いだけに、ご意見箱が出入り口に多く置かれている店舗の意図を、客が立証することはできません。
しかし、出入り口は入店する客と買い物を終えて出ていく客が交錯する、とても慌ただしい場所ということは分かっているはずです。小売店は客の動線というものを調査して、通路を設定するはずだから。
主張することを未熟と見る文化
ブースとして区分けされているわけでもなく、壁向きに突っ立ったまま景色も何も見えない圧迫感のなかで自分の背後を広い店内に向けて文章を書くという状況は、集中して考えるには最もふさわしくない場所ではないでしょうか。
「こんな書きにくい場所で一生懸命にならないで、いちいち目くじら立てずに少々の店員の不手際には甘んじて、さっさと爽快な外に出てしまえばいいじゃないですか」というのが本音なのでしょうか。
確かに、ご意見に答えることそのものには、ほとんど利益が伴わず、むしろ経費や手間がかかる場合がほとんどですから。
意見は会社の宝のはずですが、最近はそういった、手っ取り早く具体的な利益が計上されない対応のような業務は、本音では嫌われているように思えます。
もっと声を出していい社会へ
私はたまに、スーパーの帰りに自分自身はご意見を書かないまでも、期間限定で張り出されている代表的なお客さまからのご意見を読むことがあります。
どれも文章の質が高いものとは言えないし、10〜15センチ程度の縦長の小さな用紙では伝えきれなかったと想像できる、乱れた筆致のものばかりです。
自分には、その時のその人の悔しくて不快な気持ちが痛いほど分かります。ご意見コーナーは、少なくとも書き手が落ち着いて書けるような場所を選んで配置すべきでしょう。
お気軽にご意見をお寄せしていいのなら、要望の大小にかかわらず気軽に主張できる配置がなされるべきです。
もし、人としての礼儀を欠く文章を書くような客がいるのだとしたら、それはその文章が出現した時点で、それに相応しい対抗手段が講じられるべきだと思います。
ご意見コーナーが今よりもっとオープンになれば、恐らくご意見の紙は減るでしょう。ご意見に沿った企画を実現することで、顧客満足度も向上するのではないかと思います。