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サーカスという非日常の世界『グレイテスト・ショーマン』

公開前から気になっていたグレイテスト・ショーマンを、先日観に行ってきた。
※映画のネタバレを多く含みます。映画に興味があり、まだ観ていない方はご注意ください。

『グレイテスト・ショーマン』

19世紀。主人公のP・T・バーナムは幼なじみと結婚し、2児の父親として貧しいながらも幸せに暮らしていた。しかし、ある日 勤めていた会社が倒産し職を失ってしまう。バーナムは職場から盗んだ船の登録証を元に、剥製や処刑器具などの世界中の奇妙なものを集めた博物館を開くが、客足はかんばしくなかった。

そんな中「生きているものを観たい」という娘の一言から、小人症や髭の濃い女性など世間に隠れて生きていた者たちに声を掛け、フリークス・ショーを立ち上げるが…

フリークス・ショーとは
17世紀の英国から始まった「見世物小屋」のこと。人気の見世物は、小人症や巨人症、結合体双生児など見た目に特徴のある人々だった。P・T・バーナムの開いたサーカスが米国中で人気となり、大衆化したとされる。『フリーク』は「一つのことに熱中している人」の意味で使われることが多いが、元は奇形という意味を持つ。

歌とダンスで華麗に魅せるサーカスの世界


予告編を観ると「ハンディキャップを背負った人々と健常者のポジティブストーリー」のように見えるが、映画自体はバーナム個人の半生を描いたものである。

元々、貧しい生まれにコンプレックスを持ち夢想家であった彼は、富裕層である妻の家族や世間に「認められたい」という一心からサーカスを立ち上げる。バーナムにとって団員たちは、ただ自分が注目される要素の一つ。途中、サーカスから心が離れる描写もある。
その中で団員たちはバーナムのことを「家族だ」と話すシーンがあるのだが、バーナム自身は彼らのショーを“偽物”と口にしていたし、更には団員たちとの絡みがあまりに少ないために、感情移入できなかったのが正直な話。
確かに世間の隠で生きていた団員たちから見れば、外に連れ出してくれた彼は恩人以外の何者でもないのだけど。

大人になっても夢見る少年が、様々な人を巻き込んで成長する話」は、映画やドラマでよく使われるため、話自体は自分はそこまで印象に残らなかった。
それよりも突然、妙な男にパートナーとして仕事を持ちかけられ、運命の出会いを果たし、身分とは何だ?と苦悩するフィリップを主人公にした方が面白かったのでは?と、モヤっとしたり。

けれども、やっぱりミュージカル映画!

サーカスという、非日常の世界に誘う胸を高まらせるオープニング。
途中、団員たちが社会に向けて力強く訴えるパフォーマンス。
フィリップとアンによる、美しく舞い踊る空中ブランコのシーン。
そして、サーカスの全キャストによるエンディング。
話の折々で流れるミュージカルシーンは、どれも鳥肌が立つぐらいに美しく楽しい!

特に団員たちが、偏見の壁に悲しみ紡ぐ言葉は、現代にも通じるものがある。
そのミュージカルシーンがとにかく格好良く、彼女らの言葉に観ていて胸がスカッとした。このシーンを観られただけでも、映画館に足を運んで良かった!と思ったほどだ。
歌われた「This Is Me」は、平昌オリンピック フィギュアスケートのエキシビションでも使用され、話題となった。

 

 

 

 

ハンディを背負った人々のストーリーを観たい!という方には当事者の目線があまりにも少ないのでオススメできないが、とにかくミュージカル映画が観たい!という方は是非、映画館で観て欲しい。
個人的に1番好きなシーンは、最後の娘の発表会。最後の最後で、あの子のあの笑顔はズルい!敢えて、あの役を選ぶのが、もう!可愛すぎる(;;)…という、マイノリティーやサーカス云々には全く関係無いオススメポイントをば☆

残念ながら、地域によってはゴールデンウィーク前には上映終了予定とのこと。
けれど、折しも木下大サーカスが来ている鹿児島。サントラと共に、ゴールデンウィークは2つのサーカスを楽しんではいかが?

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