厚生労働省が、職業能力開発校(通称:能開校)で精神障がい者や発達障がい者を対象とした訓練科目の幅を広げる方針を固めた。精神保健福祉士(PSW)など専門家の配置も進めるそうだ。
職業能力開発校(しょくぎょうのうりょくかいはつこう)とは、普通職業訓練で長期間及び短期間の訓練課程のものを行うための施設であり、公共職業能力開発施設の一つである。
精神保健福祉士(せいしんほけんふくしし、英: Psychiatric Social Worker)は、精神保健福祉士法で位置づけられた、精神障害者に対する相談援助などの社会福祉業務に携わる人の国家資格である。PSWと呼称されている。
精神障がい者や発達障がい者が就労を目指すにあたり、ビジネスマナーや対話力なども重要になってくるが、これらを身に付ける科目はまだ少ないのが現状だ。
この方針は当事者にとって、とても心強いサポートになるのではないだろうか。就労についての不安や身の回りなどの精神的な悩みのサポートも受けられるだろう。
障がい者向けの障害校だけでなく、一般校での環境も整える必要があるというのは意外だったが、中には自分に障がいがあると受け止めていない人、自分が障がい者だと明かすのをためらう人もいるということを聞くと、とても重要な課題であると理解できた。
同検討会は精神障害者、発達障害者を対象とした訓練科を設置する一般校に精神保健福祉士を新たに配置するよう求めた。障害校には配置済み。就職して仕事を継続するには生活支援が重要だと判断した。
ここからは、僕の個人的な話だが、しばらくお付き合い願いたい。僕は、3年ほど前まで薩摩川内市の入来にある「鹿児島県障害者職業能力開発校」に1年間通っていた。ちなみに、僕はここで建築設計科という科に在籍していた。
保健室の前を時々通ると、ただ椅子に座り込んでうつむいている様子の女性が保健室のドアの向こうにいた。彼女は僕とは違う科だったが、保健室を出入りしている様子も、頻繁に目にしたのでおそらく授業も休んでいるようだった。
廊下ですれ違ったときに僕のほうから挨拶をするが、自分の世界に浸っているようで全く反応がない。それも毎回のことだった。
「せっかく挨拶したのに、返してくれないなんて…挨拶は何よりも基本じゃないの?」と当初は失望したが、冷静になって考えてみると、これは誠に勝手な臆測だったのではないかと思う。大きなお世話かもしれないが、精神的な何か問題でも抱えているような雰囲気を察した。
「これは、仕方がないのかな」そう受け止めざるを得なかった。
保健室にはもちろん看護師さんがいたが、そこにもし、PSWの人も配置されていて精神的なサポートを受けられていたとしたら、彼女も授業や活動にもっと参加できていたのかもしれない。また、人には言えない悩みもそこで打ち明けられたのかもしれない。
良い環境すぎて言えないこともありますよね。PSWさんや主治医さんはその為にいるのですから、どんどん相談できたら良いですね。
— すねこすり (@konohan48407618) July 21, 2016
能開校の取り組みとして、PSWなど精神の専門家による支援、マナーや対話力などの訓練をさらに推進していくことで就労を目指す精神障がい者や発達障がい者の人たちにとっての世界も今まで以上に大きく広がっていくことだろう。
「1億総活躍社会」がこれから身近になり、精神障がい者や発達障がい者の活躍の幅も広がっていくことを大いに期待したい。
via:福祉新聞