グーグル、ディープマインド社が開発した囲碁の人工知能(AI)「アルファ碁」が、世界で最も強い囲碁棋士の一人、イ・セドルに大きく勝ち越したのが2016年の3月。

それから約1年半が経った今年10月、さらに進化した囲碁のAI「アルファ碁ゼロ」が開発されました。

「アルファ碁」と「アルファ碁ゼロ」

昨年開発されたアルファ碁はプロの対局データを大量にインプットし、ディープラーニング強化学習を組み合わせて急速に強くなったものです。

人間の助けを借りることなく自力で学習し独自に強くなっていくアルファ碁ですが、大量の過去の棋譜をインプットして自主学習して強くなっていきました。

一方「アルファ碁ゼロ」は棋譜などの情報は一切与えず、囲碁のルールだけ教えてAI同士で対局させ、自ら学習して強くなっていくものです。

最初は石の置き方も初心者らしいおぼつかないものでしたが、約1日経過すると効率的な石の配置を習得し、3日後には最強の囲碁AIへと成長しました。

強化学習

囲碁のAIを急速に成長させているものが強化学習と呼ばれるものです。

人間の脳の神経回路を模したニューラルネットワーク、つまりハードウェアとソフトウェアのネットワークに依拠するディープラーニングが頭脳とするなら、その上に強化学習という自主学習を積み重ねてさらに強くなります。

アルファ碁が棋譜などの記憶蓄積型なら、アルファ碁ゼロは自己学習型と呼べるでしょう。ルールだけを教わった後は、ひたすらAI同士で何百万回にも及ぶ対局を重ね定石を自ら発見。

その後、死活厚みの概念を発見し、学習3日目には人間に理解できない定石を発見してしまいました。

人間に必要とされること

AIの急速な成長は、限られた分野において人間の仕事を奪っていくでしょう。
というより、就職活動で人間に勝つAIが現れてきたということです。

与えられた式の回答だけでなく、自ら考える力を持つAIに対し、私たちはそれらが人間の心まで持つかのような錯覚に襲われます。

SF小説などで数十年前から語られる「人類は自ら作り出した知能によって滅びるだろう」との図式まで想像できます。現実味をもって感じられるほどに。

歴史的に、AIの概念が発見されたのが今から約50〜60年前
提唱した数学者、アラン・チューリングは人工知能の父とも呼ばれます。

70年台の第1次AIブームから80年台の第2次ブームを経由し、コンピュータ性能が急速に成長を遂げた現在では、一部の領域においてAIは人間を凌駕する存在となりました。

学習能力を急速に成長させ続けるAIと共存する人間に必要とされることは、何も特別なことではありません。これまでの私たちと同じように感情豊かに考えながら仕事をしていくだけです。

AIが成長するなら、それは彼らに任せておけばいいでしょう。

将棋や囲碁の世界で、AIは、もはや人間を超える存在となってしまいました。
これらAIの技術を、より生産性の高い産業分野で活用する道を人間はすでに見出しています。

投資の世界、ワトソンなどは医療の世界に生かされています。

自らを超越する存在であるAIをつくり、それを操る術を備えた人間の適応力に、AI自身が驚嘆する日がいつか来るのかもしれません。