AIの導入企業といえば、資本的に余裕のある大企業や、技術者を抱えた情報産業だけかと思われるかもしれません。
しかしAIとは本来、人々の日常的な生活を豊かにするために導入して利用されるべきものです。誰でも扱えるAI、が理想のはずですから。
東京を中心に出店するラーメン店「鶏ポタ ラーメン THANK」は、AIとロボットを活用したサービスを導入しました。
お店に行けば、コミュニケーションロボット「Sota(ソータ)」がお客さまの顔を認証するため食券購入時に出迎えてくれます。
ソニーが犬型ロボット「#AIBO(アイボ)」の後継機を発表しました。名称は小文字の「#aibo」。人工知能(AI)で考え、行動に移します。価格は税別19万8000円。(圭)https://t.co/TmV4zsNF4T pic.twitter.com/NZguQuAcog
— 日経新聞 写真部・映像報道部 (@nikkeiphoto) 2017年11月1日
身近なところへAIの導入
THANKが提供するサービスは、来店者全員の顔を覚えることを目指したクラウド型おもてなしサービスとして導入されたものです。
導入されたのは Microsoft Azure のAI機能「Cognitive Services」と、ヘッドウォータースが提供するクラウドサービス「SynApps」を統合させたパッケージサービスで、月額費用を払って利用します。
来店客が Sota を利用するには専用のモバイルサービスへの顔登録が必要となります。
お客さまが来店するたびに Sota が顔を認証し、来店回数に応じたトッピングサービスを提供する仕組みとなっています。
人工知能で囲碁を分析したらある名手が『我々は1000年間、囲碁を間違えて研究していたらしい』といったという話もあるくらいで伝承と進歩ってやつは難しいらしい
なにが正解か、間違っているか1000年、天才たちすらわからんかったらしいhttps://t.co/ZPCivhgb9U
— 吉村英崇@ガチ甲冑合戦、お疲れ様です (@Count_Down_000) 2017年10月31日
中小企業によるAIの導入
AIは、それぞれの企業が独自に開発を競うものだけには留まりません。
大手のAIプラットフォーマーやAIの開発に携わるベンチャーが、AIのノウハウを持たない企業でも導入しやすいようサービスを提供する形を目指し進化を続けています。
有名なところではIBMのワトソンなど。
その他、グーグル、マイクロソフト、アマゾンなども開発に力を入れています。
導入企業が利用しやすいサービスを目指し、開発が進められているのです。
【選考担うAI 採用どう変わる】AI(人工知能)が採用選考の一部を担う動きが増えている。人工知能での選考が当たり前になるとどうなるのか、メリットや現状を解説。 https://t.co/gTwb67t3sq
— Yahoo!ニュース 速報や地震情報も (@YahooNewsTopics) 2017年10月25日
開発から導入へ
AIの開発に携われるだけのデータリテラシーの高い人材は、日本ではまだ多く見当たりません。そこで、プラットフォーマーがクラウドとしてのサービスを提供することが、AI普及のカギを握るのです。
中小企業がAIを利用する方法としては、大手プラットフォーマーおよび開発ベンチャーによるAIプログラムを手ごろな価格で導入する手法が当面の主流となるでしょう。
とはいえ、AIはビジネスの手段であり目的ではありません。
必要に応じて導入したシステムが実はたまたまAIだった、というケースもあるでしょう。
AI時代に「哲学」は何を果たせるか? 『そろそろ、人工知能の真実を話そう』著者に訊く 〈アーカイヴ記事〉 https://t.co/NXr4cRAIyW
— WIRED.jp (@wired_jp) 2017年10月29日
やがて、AIのクラウドには入手可能な情報があふれ、購買履歴やサービスの利用履歴などから嗜好を分析したAIが独自に学習し、新たに生産した情報にあふれるでしょう。
クラウドとして安価に利用できるAIクラウドサービスは、中小の企業が大企業と肩を並べて情報を分析し開発を進める、よりどころとしての存在が期待されます。
今後は、資金力が幅を利かせた時代は過去のものとなり、大小の各企業が純粋に構想力で勝負できる時代が来るでしょう。
鶏ポタ ラーメン THANKの試みは、産業界全体を見れば小さな波紋に過ぎないのかもしれません。
しかし、この試みがいつか、日本の中小企業におけるAIビジネスのフロンティアだったとみなされる日が来るにちがいありません。