家を出た後、友達や姉とのシェア生活を経て、今は1人暮らしを満喫している。
1人だと自由で気楽な反面、もちろん大変な部分もたくさんある。車いすで生活していると尚更で、特に大変なのが料理だ。
1人暮らしをしてしばらくは、わたしは自炊をしていた。と言っても、自分で作れるのは野菜炒めぐらいだ。
シェア生活では少し料理を手伝っていたはずなのに、全く材料や手順が頭に入っていない。思い出すのは、狂ったようにエノキを割いていた手元ぐらいである。
自分はどれだけのエノキ星人であり、どれだけ友達や姉を頼りにしていたのだろう。全てはエノキで歯が欠けたせい。後悔先に立たずである。
かといって料理本を見ながら料理するのも面倒で、ただただ野菜とお肉を炒めるのみ。そんな生活を数ヶ月続けていたら、2度ほど体調不良で病院に運ばれた。
かなりの怠さと口内の違和感。2度とも同じ症状だったので血液検査をしてもらったら、医者は子犬のような顔でこう言った。
「ochunさん、あのね。栄養失調になってるよ。特にブドウ糖が足りてないね。そう、栄養失調。この現代社会で。」
最後の一言に妙な強さを感じたのは、わたしだけだろうか。
以来、わたしは料理を頑張ろう!…とは思わずに、ヘルパーさんに任せることにした。
他の料理に挑戦したところで病院行きは目に見えている。人間、無理をしたらダメだ。
それからというもの、大きな風邪も引かず健康的な生活を過ごしている。ヘルパー様々である。
日本人なら米!その心意気が痛手となる
そんな料理ダメダメ芸人の自分だが、米だけは自分で炊いている。
短大中、陶芸を専攻していたのだが、米を洗う手の動きが粘土を捏ねる動作と似ており、研ぐ動作がなかなか好きなのだ。まぁ、陶芸中は先生や友達にやってもらってたのを見てただけなのだが。
そんなある日のこと。いつものように米を研ごうとしたら、米びつが空なことに気が付いた。
いつもはヘルパーさんに事前に入れ替えてもらうのだが、それをすっかり忘れていた。
ヘルパーさんが来るのは夕食後。今日の分のご飯が無い!
仕方がないので自分で入れることにしたのだが、その時の記録をココに残しておく。
※誤字は薄目でご覧ください
ご覧のように、ちょっと頑張ったばかりに1人のヘルパーと何百人の神様が犠牲になってしまったのだ。この時ほどの大きな虚無感をこれ以降感じたことはない。
この時以来、わたしは心に深く刻んだ。
そう。
人間、無理をしたらダメだ。
※タイトルに使用した写真は、ここ最近のご飯の成りの果てです。同じような過ちを犯したことを、ここにお詫び申し上げます。