障害や難病を持つ人達の生活を様々な場面で支えてくれている給付制度。わたしも電動車いすをはじめ、日常生活用具でお世話になっている一人だが、この新しい取り組みにはとても驚いた。
八王子市が7月1日、都内では初めて身体障がい者などに給付する日常生活用具の一部の品目で、iPadなどのタブレット端末とアプリを選択できるようにした。身体障がい者が日常生活をより円滑に行えるよう用具を給付する同制度。今回は、ポータブルレコーダー・活字文書読み上げ装置・視覚障がい者用拡大読書器・携帯用会話補助装置のそれぞれにタブレット端末とアプリを追加、また、「情報・通信支援用具」として、10万円を基準にパソコンを支給対象としていたところに、タブレット端末を加えた。
障害や難病を持つ人とITの関係は深い。東京大学先端科学技術研究センターの中邑 賢龍教授は「技術は人を平等にするのです」と語る。
中邑 賢龍教授は障害をかかえた子どもたちの進学や生活のあり方を心理学・工学・教育学をミックスした手法を取り入れた先端学際的研究に取り組む研究者である。
テクノロジーがいくら進歩しても、人の意識が変わらなくては、技術はまったく生かされないことになりかねない
ごもっともだ。むしろ、障害や難病を持つ家族はIT技術などから当事者を遠ざける傾向も見られるなか、このような考え方が一般通念として普及することで、具体的に障害を超えるための「IT活用」が加速するはずだ。
「ディスレクシア(読字障害)」という障害がある。文字は読めても、文章になると言葉が頭に入らなかったり、文章が大小入り乱れ、躍り、ときには文字が動いて見えたりすることもあるという。字は読めるのに書けない「ディスグラフィア(書字障害)」もある。こういった学習障害を含む発達障害は、知的な遅れはないためパッと見ただけでは気づきにくく、小中学校で『できない子』『ダメな子』という烙印を押されてしまうことも少なくない。「ディスレクシアの子なら、音声読み上げソフトを使う。文字を書けない子は、キーボードで打ち込んだり、黒板をデジタルカメラで写したりすればいい。『DO-IT Japan』で僕たちがやってきたのは、問題を抱える子どもたちに応じて、タブレットやPC、ICレコーダー、デジカメといった『アルテク』の使い方を教え、それらを使える環境を作ることでした」
障害や難病などで失われている機能をITで補完していく。私たちにとって一筋の光明になるのかもしれない。
このような考え方を知ると、八王子市の取り組みは、障害や難病を持った方を健常者と呼ばれる障害や難病を持たない人たちと「平等に」していくのかもしれない。まさに、「技術は人を平等にする」第一歩だろう。
障がい者や難病患者は、自立したいと思っていても、まず働くことが難しいので経済的に厳しい。頑張って、自立をしていても金銭に余裕がないので、色々なことを諦めなければいけなかったりする。それが、例え自分に必要なものであっても。
ITが普及した時代とはいえ、収入源が安定的に確保されていない障害や難病を持つ人にとっては、パソコンもタブレットもまだまだ高い。ニーズは高いはずだが、手が届かないと感じている人にとっては八王子市の取り組みは希望につながる。
http://hachioji.keizai.biz/headline/2113/
via:八王子経済新聞
http://www.recruit-lifestyle.co.jp/lifeshift/ls18232_20160701
via:リクルートライフスタイル