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「HTLV-1ウイルス」母子感染を防ぐ、国が”完全ミルク育児”を推奨

“完全ミルク育児”とは、母乳を与えずに粉ミルクなどの「人工ミルク(人工栄養)」のみで育児をおこなうことです。”完ミ”とも呼ばれています。

それが”母子感染”の予防とどう関係があるのか。

成人T細胞白血病(ATL)神経難病の脊髄症(HAM)という難病があるのですが、その原因とされる「HTLV-1ウイルス」は、主に母乳で子どもに感染すると言われています。そこで国は、新たな対策として人工ミルクのみによる”完全ミルク育児”を推奨する方針を発表したのです。

しかし、”完全ミルク育児”で本当に子どもを守ることができるのか?成長に影響を及ぼすことはないのでしょうか?

放置されてきた「HTLV-1ウイルス」対策

”完全ミルク育児”を推奨し、「HTLV-1ウイルス」の母子感染を防ぐ。「ATL」や「HAM」を引き起こすとされる「HTLV-1ウイルス」に感染している母親から、母乳によって子へと感染することがわかっているのだから、人工栄養による育児を推奨するのは当然でしょう。

むしろもっと早く、このような対策をとっていたら、新たな難病患者や苦悩する母親を増やさずにすんでいたのでは。

国はかつて「ATL」や「HAM」などの「HTLV-1」関連疾患を、「九州に患者が多い」という理由から”九州の風土病”であるとして長年放置し、対策を講じて来ませんでした。

2010年にようやく誤りを認めた国は、総合対策を発表し、公費による全妊婦検査を開始しました。

以来、

(1)粉ミルクなどの「完全人工栄養」
(2)生後3ヶ月未満に限る「短期母乳」
(3)ウイルスを壊すために一度凍らせた母乳を与える「凍結母乳」

といった中から、授乳方法を選択するという対策を進めてきました。

しかし、「短期母乳」や「凍結母乳」は感染予防効果の科学的根拠が不十分だとして、”積極的におこなわない”ようにと改められました。

”感染リスク”を説明した上で母親が母乳による授乳を強く望んだ場合は、「短期母乳」が可能だそうです。

「HTLV-1ウイルス」とは?

「HTLV-1」とは、ヒトT細胞白血病ウイルス(Human T-cell Leukemia Virus Type 1)の略称です。白血球のひとつである、リンパ球に感染するウイルスとされています。

1980年に発見されましたが、このウイルス自体は縄文時代以前より存在し、感染があった言われています。

現在の日本では約108万人、世界には推定約3,000万人の感染者がいると考えられています。インフルエンザウイルスなどとは異なり、感染しても自覚症状は全くありませんが、一度感染するとリンパ球の中で生き続けるのが特徴です。感染しているからといって必ずしも病気が発症するとは限らず、95%の人は生涯発症しないと言われています。

空気感染をすることはないので、身近に感染者がいたとしても怖がる必要は全くありません

そして、平成23年から妊婦検診に追加された、妊娠30週までに血液検査を行う「HTLV-1抗体検査」を受けることで、感染の有無を知ることができます。

世間における「HTLV-1ウイルス」に対する認知度は、それほど高くないのが現実です。正しく知り、正しく理解することがとても大切なことでしょう。

 

 ”完全ミルク育児”のメリット・デメリット

”完全ミルク育児”にだって、もちろんメリットもあればデメリットも。

〈 メリット 〉

〈 デメリット 〉

WHO(世界保健機関)は、「母乳には発育に必要な栄養素や感染症から守る感染防御因子というものが含まれている」とし、母乳による育児を提唱しています。

しかし、必ずしも母乳による授乳が愛情や栄養をより多く与えられるというわけではないので、ウイルス感染のリスクを考えると”完全ミルク育児”を選択することが赤ちゃんのためになるのではと、考えられるのです。

母親の気持はとても大切ですが、最も優先されるべきは”子どもの将来を守る”ことです。

”完ミ”で育てるお母さんたちの声

「HTLV-1」に感染していなくても、”完ミ”で子育てをするお母さんたちは増えてきています。しかし、そこには様々な苦悩や苦労、体験があるようです。

 

 

これからの時代は”完ミ”がさらに浸透し、育児のスタンダードとなるかもしれません。

そうなれば、母親や家族だけでなく、世間も”完ミ”について正しく知り、理解することが必要となるでしょう。

国の新たな対策。根本的な解決策ではないかもしれませんが、多くの子どもを守ることを期待したいです。

本来、ヒトは母乳で育児を行うもの。自分の母乳を与えられないことを悔しく感じている母親もいるかもしれません。そんな思いをする母親が現れないよう、疾患治療の研究が加速し、治療法の確立が早期に実現してほしいものです。

via:ママスタ

via:HTLV-1情報サービス

via:mamanoko

via:IKURICHI

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