かつて、鹿児島本線西鹿児島駅から博多駅まで伸びていたJR九州の特急つばめは、無人駅である上川内駅を超えたあたりから車窓に広がる薩摩川内市の西方海岸がとても綺麗でした。
いま、同区間は新幹線つばめに取って代わっています。
新幹線のスピード化に伴い、特急つばめだったころは停車駅だった鹿児島県阿久根駅、など、いくつかの駅は停車駅から漏れ、九州新幹線開通の恩恵を受けられずにいます。
肥薩おれんじ鉄道。車窓最高すぎ。どこを切り取っても絵になる。ずっと窓の外見てられる。 pic.twitter.com/voVHarnn8T
— 佐々木真【フリーのヘアスタイリスト】 (@makoto742838) August 30, 2017
JR九州の撤退
それに追い打ちをかけるように、JR九州は北部薩摩の中心駅である川内駅から熊本県の八代駅までの区間から撤退。
その後、同区間は第3セクターとして誕生した「肥薩おれんじ鉄道」が営業を引き継ぐことになりました。当初は、突然跳ね上がった運賃の高さが不評で、普通列車の利用客数も激減し、大幅な赤字を記録していました。
その後、度重なる経営方針の変更から、現在は希少価値の高い地元密着型の旅行プランが鉄道ファンを中心に人気を集めはじめています。
第3セクターとしての挑戦
肥薩おれんじ鉄道は、熊本県、八代市、水俣市、芦北町、津奈木町、鹿児島県、阿久根市、出水市、薩摩川内市の各自治体と、民間の日本貨物鉄道株式会社が出資して運営する、第3セクター方式の会社です。
第3セクターといえば以前は、経営のノウハウを持たない行政と、税金収入を見込んだ経営努力不足の民間が依存しあって破綻するダメな経営の見本のようにみなされていました。
現在はNPO法人によるものも第3セクターと呼ばれるようになりましたが、利益を継続していくことに苦心している点では、昔とあまり変わらないかもしれません。
現在地
ここから肥薩おれんじ鉄道 pic.twitter.com/1MnPXFLsER— ねりけし (@snkisk_s) September 1, 2017
セールスポイントは海岸線
肥薩おれんじ鉄道の車窓から眺める、薩摩川内市の西方海岸を中心とする美しい海岸線は、肥薩おれんじ鉄道にとって最大のセールスポイントです。
かつては特急つばめの車窓から、この美しい海岸とキラキラ水平線まで輝く美しい海を眺めることができました。
今では、博多への到着も新大阪への直通路線も以前とは比べものにならないくらい速くなりましたが、新幹線開通以後この区間の特急運行は途絶え、新たに開通した新幹線の車窓は、長いトンネルによる真っ暗な区間に変わっています。
肥薩おれんじ鉄道の赤字問題は、今でも解決したとは言い難いものです。
八代で肥薩おれんじ鉄道に乗り換え、川内へ。#東京鹿児島鈍行旅 pic.twitter.com/DLyeMFmliA
— MAYANK (@mayankjpn) September 1, 2017
そこで編み出された独自の企画列車、「観光列車おれんじ食堂」「おれんじカフェ」「ゆうゆうトレイン」「ドリームトレイン」「ななつ星in九州」は、集客に一定の効果を上げました。
年度によるものの、一時的ですが黒字も出しています。
その一方で、今後2022年度までに見込まれる資金不足は約30億円にものぼると予想されています。
海が綺麗で、無人駅の静寂が心を安らげてくれる肥薩おれんじ鉄道は、徐々に観光列車としてのブランドを身に付けはじめています。
肥薩おれんじ鉄道は、美しい海とゆったりとした時間の流れと静寂で、これからも多くの人のココロを安らげていくことでしょう。
一時的にでも都会の喧騒から離れたくなったら、鹿児島と熊本の海岸線に沿って伸びるこの列車に、乗りに来てください。
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via:肥薩おれんじ鉄道
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