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2024/12/10:フリーペーパーvol.105発刊!

バニラエア搭乗拒否事件から見る、日本のバリアフリー問題

鹿児島県の奄美空港で、格安航空会社(LCC)バニラエアの関西空港行きの便を利用しようとした車椅子ユーザーが搭乗拒否された問題。

ニュースで大きく取り上げられ、ネットでも波紋を呼んでいた。

なぜ、こうも大きく広がったのか。わたしなりに考えてみた。

 

ネットやTVでは様々な点が議題に挙げられているが、今回 争論となるべき点は大きく分けて2つ。

・車椅子ユーザーは格安航空会社を選んではいけないのか

・なぜ、乗客は車椅子ユーザーという事を事前に伝えなかったのか

 

そして、一連の騒動を見て、わたしが感じた感想はただ1つ。

『行動はどうであれ、当事者が声を上げなければ日本の福祉は変わらない』である。

 

車椅子ユーザーは格安空港会社を選んではいけないの?

格安航空会社のメリット、その名の通り料金の安さである。

その安さの理由が、大抵のサービスがセルフサービスという事にある。つまり、それだけスタッフを少人数に抑えている、という事になる。

そうなると、席の乗り換えなどに介助が必要な障がい者の場合、介助者と一緒だとしてもなかなか厳しい。

車椅子ユーザーが飛行機に乗る場合、かなりの手間と時間がかかるからだ。

「どの便に乗るのか、車椅子の仕様(重さ、サイズ、バッテリーの有無)、電動車椅子の場合はバッテリーのタイプや取り外し方など」を事前に伝えた上で、当日もスタッフが変わる度に同じ質問を何度もされる。

車椅子は手荷物として預けられるので、出発ロビーの搭乗手続きカウンターから飛行機内は航空会社専用の車椅子に乗り換えなければならず、その移乗時間もかかる。(自分の車椅子で席まで乗り付けができる場合もある)

更に、大抵の航空会社のサイトには「車椅子ユーザーは出発時刻の1時間ほど前には待機(国際線だと2時間)」と記されており、その分の時間もかかる。

 

ただ、それらは全て飛行機が安全に飛ぶための手間と時間であり、納得ができる。

当たり前の事だが、ほんの小さなことで飛行機に乗る全ての人の安全を左右するからだ。

 

しかし、人手が足りないからといって格安航空会社を選んではいけない理由にはならない。

人手が足りないのなら、その分設備を整えれば良いだけの話だ。

そもそも公共交通機関でありながら、設備の不備で乗れないことは合理的配慮の面で欠けていることになる。

サービスを選ぶ権利は、誰にでも平等にある。

その点で声を上げた今回の件は、バリアフリーという観点に一石を投じたものとなった。

 

ただ、利用する前に自分が車椅子ユーザーだと伝えなかった事。

この点は、わたしも非難されて仕方がないと思っている。

 

というのも飛行機にしろ何にしろ、サービスを受ける権利は平等であり、自分1人だけでは無いからだ。

 

事前連絡の必要性とは?

事前に車椅子ユーザーだと伝えることは、一緒に乗り合わせる乗客やスタッフへの安全や配慮にも繋がる。

今回の件は、席に座るまでにかなりの時間を費やしたことだろう。そのため乗客の人たちはその分、足止めを食らってしまったのではないか。

もともと彼は「バリアフリー研究所」を設立し、その代表として名乗っている。

仕事としてバリアフリー問題を扱っているのなら、理不尽に時間を割かれる苛立ちや悔しさを知っていたハズだ。

彼がクレーマーと呼ばれる原因は、そういう無関係の人々に迷惑を掛けてしまったことにあるのではないか。

 

そもそも健常者が普段生活していて、車椅子に触れる機会なんて滅多にない。

例え、同じ障害を持っていても1人1人の状態は違うもので、それだけ対応も異なってくる。

つまり事前に連絡することは、サービスを気持ち良く利用するための準備でもあるのだ。

…と言いつつ、連絡したところで伝わっていない場合もあるが。。。(小声)

 

もちろん、多くの人が共通する問題を訴えることは大切である。

けれど「設備も無く、スタッフや同行者の助けも拒否されたら、自力で歩けない者はこうして乗るしかない」姿を見せて社会に訴えたいのなら、他の方法でも出来たハズだ。

 

わたしも以前、車椅子ユーザーである友達らと介助者なしで飛行機を利用した際、周りに人が居ない瞬間を見計らって、スタッフに「車イスが介助者無しで乗るなよ」と言われたことがある。

その一言で気持ちが一気に落ちてしまったし、楽しかった旅行を思い出す度に、その時感じた悔しさも同時に蘇ってしまう。

 

今の日本のバリアフリー設備は、正直言って当事者ではなく介助者目線や介助者ありきで作られたものが多い。

そのため、バリアフリーを謳っていても使えないこともある。

更に、車イスを使わない他のハンディキャップを背負っている人から見れば、まだまだバリアフリーとは程遠い社会だ。

今回の件は、自分たちとは無関係だと思っていた人たちにもバリアフリーについて考えるきっかけになったのではないか。

そのきっかけを増やすためにも、当事者はもっと声を上げなければならない。

 

手を借りる側と手を貸す側。子どもからお年寄り。性別の概念に苦しむ人々。

当事者とは、社会に生きる全ての人が含まれる。

さまざまな視点が重なって初めて、「バリア」とは何か。が見えるのではないか。

 

https://www.vanilla-air.com/jp/

http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n250/n250_01-09.html

via:障害者の航空機利用の現状と課題

合理的配慮やバリアフリーについて興味を持ったら、コチラもどうぞ↓

https://1234times.jp/category/serialization/gohi

 

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