色覚障害検査を実施しない小学校が増えた結果、10代〜20代で自分自身が「先天性色覚障害」であることを自覚してないまま生活している若者が増えているそうです。普段の生活に大きなな支障はないといえ、命に関わる部分への影響が危惧される中、交通インフラにおける合理的配慮ともいえる「ユニバーサル信号機」の存在感が増しています。
<先天性色覚障害> 日本人では男性の5%、女性の0・2%にある。03年度から、小学4年の健康診断で検査が必須でなくなったことから、検査を実施しない学校が多くなり、10代後半から20代前半の若者で自覚していない人が増えている。このため、文部科学省は本年度から、児童本人のプライバシーを保護することを前提に、小学校での検査推進を打ち出している。
2年前に宮城県で色覚障害が原因と思われる信号の見間違いから死亡事故が発生しました。青色(すすめ)、黄色(注意)、赤色(とまれ)という信号機のルールは誰でも知っていることですが、ルールはわかっていても自分自身が色を見分けることができなかったとすれば…どうでしょうか。
現在設置されている信号機は、発光ダイオード(LED)を使ったものが主流。だが色覚障害者から「特に夜間は、赤と黄の区別がつきにくい」という指摘が出ていた中で事故は起きた。
記事を読んでいて、今までは色の見分けはできていたのだろうな?と思いましたが、なるほど。LED化で、より区別がつきにくくなったのですね。
そこで、提唱されているのが「ユニバーサル信号機」です。今まさに、信号機のあり方が見直されようとしているのです。
画像引用:(C)JDP サイト名:GOOD DESIGN AWARD
赤信号の中に描かれた「×印」が、色覚障害者にはくっきり見えるユニバーサル信号機を、九州産業大の落合太郎教授(環境デザイン)が開発し、実用化に向けて改良を重ねている。
このユニバーサル信号機は2011年にはグッドデザイン賞を受賞しています。
省エネに優れるLEDによって環境性能が飛躍的に高まった交差点の信号機は皆で共有する社会インフラ。色覚異常者は特に位置が判り難い夜間では判別の困難を伴う。運転免許を取得させない国もあるがこうした社会差別は改善し、過度に色彩に依存しないような進化する社会デザインに注力すべきである。信号機の次世代ユニバーサルデザイン化は安易に人を排除するのではなく、インフラのほうで寄り添っていくべき視点に立脚している。
黄色と赤色の区別が困難とされる色覚異常者へ配慮したLED信号灯。省エネ、長寿命のLEDの採用により、従来の電球式の透明感と明るさの違いによる色の識別ができなくなり、色覚異常者には、一層黄色と赤色の差が分かりにくくなっている。そこで、この信号灯では、赤色灯に特殊な×印のLED発光体を配列し、100m離れると健常者には×が見えなくなり、色覚異常者だけに認識できるようにした。必要な情報が必要な人にだけに届くユニバーサルデザインによる信号灯の開発が評価された。
このような信号機が増えれば、色覚障害のある方でも安心して道路交通を利用することができるようになります。色覚障害があるから道路交通は利用したらダメという考え方ではなく、たとえ色覚障害があったとしても、信号機がユニバーサルデザインになっていることで、安全に利用することができます。まさに、信号機にも合理的配慮をということです。
このような社会インフラ整備が推進されていくことを強く願います。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201607/CK2016070502000198.html
via:東京新聞
http://www.g-mark.org/award/describe/37952