近年では、”ペットは大切な家族の一員”だという考え方も浸透してきました。犬や猫だけでなく、鳥やうさぎ、昆虫などの様々な生き物たちがそうです。
もし、そんな大切なパートナーを突然、射殺されたら・・・。さらにその危険が身近にあるとしたら・・・。
そんな日常、想像できますか?
犬や猫を飼っている人がぞっとするようなことが実際に起きているドイツ。
”動物福祉先進国”と言われるドイツで行われている、”犬・猫の駆除”についてご紹介します。
動物福祉の先進国・ドイツの取り組み”ティアハイム”
ヨーロッパの中でも動物福祉の先進国であるドイツでは、原則殺処分は行わず、全国に約1000施設ある「ティアハイム」と呼ばれる民間のシェルターで保護を行っています。”動物の家”を意味するティアハイムでは、犬猫だけでなくサルや馬、爬虫類など様々な動物たちの命が守られています。
画像引用:NEVERまとめ
ここでは年間、1万〜1万5000頭を収容。
その4割が野良や放浪などの飼い主不明、もしくは劣悪な環境で飼っていた飼い主から国の獣医局が没収し預けられた動物たち。そして6割が飼い主の死亡、動物アレルギー、引っ越しなどを理由に預けられた動物たちです。
施設内には検疫室や病院もあり獣医師と看護士が常駐。清潔な施設で空調もしっかりと管理されており、動物たちにとって快適な環境となっています。動物たちのケージには「自己紹介カード」があり、生年月日や保護された理由などもしっかり記されています。
民間施設のため、年間維持費800万ユーロ(10億4000万円)の多くは市民や企業からの寄付金によってまかなわれています。行政からの助成を一切受けないことで、政府に対しても公平な立場から動物福祉の施策についても提言ができるそうです。
この施設では新たな出会いを求めて多くの人々が訪れますが、「本当に責任を持って飼えるか」「家族は納得しているか」などを何度も足を運び考えてもらい、決断してもらうそうです。さらに施設側もその動物の抱える精神的な問題等もすべて説明し、理解をしてもらった上で譲渡しています。
日本のペットショップで起こりがちな「目が合ったから」や「一番可愛いから」といったような、”衝動的な判断”で飼い始めることを防いでいるそうです。
ティアハイムでも、”安楽死”は行われているようなので、「殺処分ゼロ」ではありませんが、動物の命を守りたいという市民や企業などの民間の人々の懸命な取り組みが”動物福祉先進国”を支えているのです。
合法的に行われる犬・猫の「駆除」
ペットたちの命を守るために、民間が必死に取り組んでいる一方で、飼われている犬や猫が合法的に射殺されているという衝撃的な現状も。
リードにつながれていない飼い犬や外を散歩中の飼い猫など、飼い主のいる”ペット”が狩猟者によって射殺されるといったものです。中にはリードが外れはぐれてしまった犬や室内から飛び出した猫など、たまたま飼い主のそばから離れてしまった犬猫たちも。
一見するとペット虐殺のようですが、実は「ドイツ連邦狩猟法」という国が定めた法律によって認められているのです。
狩猟法の23条では”在来野生生物の保護”と”生態系の維持”のために、民家から300m以上離れた狩猟区域内にいる犬や猫は狩猟対象とし、銃などで殺傷することを許可しているのです。
これは、狩猟動物(=狩猟者が捕獲する鳥獣)を保護するために、それを捕食する野良犬や野良猫の「駆除」を行政が認めているのです。
野良であっても、いきなり射殺というのは物騒な話ですが、その犬や猫が飼われているかどうかの確認もせずに殺していることにも驚きます。”狩猟法”のもと、「駆除」の名目で犬や猫を「狩る」こと自体が目的になっている人も中にはいるのではと考えてしまいます。
https://twitter.com/kkdk0202/status/835408826236993536
それに、意外と行動範囲の広い猫の場合、自宅から300m離れた場所まで出かけている可能性は十分に考えられます。
飼い主の目の前でペットが射殺された例もあるようですが、狩猟法・23条を満たしていた場合、射殺した狩猟者の責任を問うことは難しいそう。
動物保護団体の指摘によると、年間に猫が約40万頭、犬が約6万5千頭、狩猟者によって射殺されているようです。日本での年間殺処分数は、猫が約6万7千頭、犬が約1万5千頭(平成27年度)ですから、この数字が事実なら、ドイツでは日本をはるかに上回る数の犬や猫が殺処分されていることになります。
”狩猟動物”を保護することの意味とは?
昔から、農地や草地などを野生動物から守るべく、野生動物を管理する意味で狩猟が盛んに行われてきたヨーロッパ。現代のドイツでも、「自然を深く学びたい」という動機から狩猟免許を取得する人が多く、免許取得者には野生動物を管理し農地等を保全する義務が課されています。
また、ドイツではすべての野生動物は「法的な所有者がいない」と考えられ、都市部や集落などの居住区でなければ、原則どこでも狩猟が可能とされています。
画像引用:ドイツニュースダイジェスト
ドイツで狩猟が深く根付いた文化であるということはうかがえますが、野良犬や野良猫の「駆除」を法律で許可してまで狩猟動物を守る、その必要性はあるのでしょうか?
野生動物から農地を守ることが目的の”狩猟”と、その標的となる野生動物(狩猟動物)を守る”狩猟法”。
狩猟動物の命を守っているわけではありませんから、”生態系の維持”というよりも、「狩猟」という”娯楽”を守りたいということが本音なのかもしれません。
https://twitter.com/taka_20622/status/834020985221193729
その国の文化に他国の人間が口を出すものではありませんが、犬や猫たちを射殺(駆除)している人たちは、何の抵抗も感じないのでしょうか?
犬や猫と狩猟動物、どちらの命が重いということではなく、誰かのペットかも知れないということが脳裏をよぎることはないのでしょうか?
世界中から注目されている「ティアハイム」。この民間の努力をムダにしかねない、「狩猟法・23条」。
せめて飼われている犬や猫が被害に遭わないような、そして飼い主が泣き寝入りすることのないような制度の見直しが必要なのでは。
屋外で放し飼いをすることや、そばを離れることがペットを失う危険性を高めるドイツ。日本でも周囲への配慮やペット自身を守る意味から、放し飼いやリードなしでの散歩等はしないよう呼びかけていますが、射殺されるという危険は身近にはありません。
銃口を気にすることなく、ペットと安心して過ごせる日本は、とても幸せなのかもしれません。
https://matome.naver.jp/odai/2145626927254770401
via:NEVERまとめ
http://www.jiji.com/jc/v4?id=2013tierheim_berlin0001
via:JIJI.COM
http://www.newsdigest.de/newsde/regions/reporter/muenchen/6632-993.html
via:ドイツニュースダイジェスト
http://geliebte-katze.de/information/recht-rat/jagd