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バナナのように甘くはない「こんな夜更けにバナナかよ」

こんな夜更けにバナナかよ

例えば、人口呼吸器を装着した人から「タバコを吸いたい」と言われたら、あなたはどうしますか。イエスと言っていいのか、躊躇してしまうのではないでしょうか。この本は自立生活をする筋ジストロフィーの鹿野さんとボランティアの日常を描いたものです。

一見すると彼は「ワガママ」です。あれが食べたい!これはイヤだ!出かけたい!眠れない!24時間、ずっと人がいる生活のなかで、タイトルのとおり鹿野さんは自分の欲求に忠実です。そのため、ボランティアと言い争いになることも数知れず…。

しかし、著者は徐々に自分のなかにもあった「障害者の聖化」に疑問を感じるのです。鹿野さんを「ワガママ」と感じるのは何故か。それでも何故、鹿野さんは人を惹きつけるのか。鹿野さんとボランティアとの間に交わされた介助ノートとともに、どちらかだけに肩入れすることなく、どちらも自分のなかに取り込んで向き合っていきます。

ある意味ハードボイルドで、アクションものでもある1冊です。リアルでまっすぐで濃厚な人間関係のなかに、気がついたら自分もどっぷり浸かっていることでしょう。そして、読み終わったら不思議と気持ちがスカッとしているのです!

個人的に10年後のあとがきが収録された文庫本がおすすめです!福祉に抵抗がある人、興味がない人にこそ読んでほしい!

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