この記事は、前回の記事の後編である。
前編では、『ひとり親の子育て』(WAVE出版)を上梓された明治大学教授の諸富祥彦さんに、ひとり親の現状を伺った。後編では、周囲にいる人が手を差し伸べること、ひとり親が周囲に援助を求めることについてフォーカスする。
前回の記事で、「ひとり親」の家庭において、どうやって子供を守るかということに触れた。その方法のひとつとして、育児でヘトヘトになってしまった人への周囲からの援助が重要であると書かれている。そして、本人の「援助希求力(えんじょききゅうりょく)」も大切だとあった。
親御さんは、援助希求をするのは恥ずかしいことではなく、「子どものためにできることをやっているんだ」というプライドの持ち方をしてほしい。親が我慢を重ね、追い詰められたりイライラしたりすることで、結果的に辛い思いをするのは子どもです。日本の親御さんは本当によくやっていますが、援助を求めてもいいんです。
確かに、家庭の中で我慢したはけ口が、子供になってしまうケースが多いように思う。この援助希求は何も子育てだけには限らない。大人も子供も他人に「手を貸して欲しい」この一言が言えるだけで、大きな一歩につながるのではないか。そうして、もうひとつ
最近、問題になっているのが「泣かない」子どもです。「解離性障害」といって、いじめられている子だけでなくいじめている子も発症しやすいのですが、自分の気持ちを出せない、自分の気持ちがわからない、表情が乏しい、そういう子どもが増えています。小さい頃、泣くのを許されない環境で育ったために我慢するのが当たり前になり、辛いときに泣けない。臨床心理学の分野で、今、大きなテーマとなっています。
そうだ。子供が泣くことは当たり前なのだ。辛いときに泣けない。無意識だとしてもどんなに苦しいことだろう。
泣かないのがえらいのではなくてむしろ、「よく泣けたね」と声をかけてほしいですね。我慢することをやめないと、より子育てしにくい社会になってしまう。
この記事だけでも、現代の矛盾した子育ての現実が見えている。本「ひとり親の子育て」には、ひとり親の子育てに必要なことだけではなく、そもそもの「子育て」において大切なことが記されているのではないだろうか。
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