新卒で会社に就職したものの、黙っていた障害のことが判明すると強制的な解雇に近いかたちで自主退職を迫られました。
その後も就職するたびに障害を理由に退職に追い込まれ、自分は組織の中に入って働くことが許されないと諦めたとき、生きる手段として選んだ仕事がフリーランスの産業翻訳者でした。
フリーランサー初登録
翻訳業界での仕事経験も専門分野も何もないところから、私の挑戦は始まりました。
アルバイトで最低限の生活費を稼ぎながら余った時間で勉強するという日々を約5年間続けました。
お金も十分に持っていませんでしたが仕事をする上で当時最低限必要とされたパソコンを入手し、インターネット環境を整え、求人情報を検索し、初めて応募したトライアルで翻訳者として登録することができました。
昨日レートを上げてくれた会社は、フリーになって初めてトライアルを受けた会社(だから少し安めだった)。経験のない私をゲーム翻訳者として育ててくれ、5年経った今も変わらず「この作品はぜひあなたに」と声をかけてくれる彼らに感謝して、ますます役に立てるよう精進していこう。
— Utako (@utakobuta) December 17, 2010
トライアル合格!これで晴れて有職者というかフリーの翻訳者デビューです!おめでとう、俺!まあだいたい三日かかるお仕事1本につき1万円もらえるかどうかなんで、このままじゃ生活できないけどね!ふざけた現実だ。やはり社内スタッフ最強だわ。来るお仕事はしっかり片付けてまた就活頑張りますか!
— sumomo (@sumomover2) March 14, 2011
しかし、その会社からの仕事の依頼は1件もありませんでした。私が実力的に、当時稼働中の翻訳者を超えていなかったからだろうと思います。
しかし、1社登録することで途端に間口の広がる翻訳という世界で、私は別の翻訳会社の翻訳者募集案内に応募し、すでに仕事が決まっているプロジェクトの一員になることができました。
翻訳能力とは直接関係ないのかもしれませんが、当時さまざまな語学検定で立て続けに合格できたことも理由の一つだったのかもしれません。そして、合格の大きな要因と思われることは、英語力ではなく日本語の表現能力だったのだろうと思います。
フリーランスで働くということ
それから、さらに別の小さな案件をほそぼそとこなす、売れない産業翻訳者としての生活が数年は続きました。翻訳の仕事をするうえでの常識も少しは覚えました。それらは、その後どのような仕事をする上でも、今でも自分にとっての教訓となっています。
「自己管理をしっかりする、人に頼らない、誰も助けてはくれない、他人のせいにしない、自主的に考え行動する」など、社会人としてはどれも当たり前のことですが、失敗を重ねながら覚えていったことがいくつもあります。
フリーランスで翻訳の仕事をするということは、誰に話しても「ステキ」な印象を与えるようです。ごく一部の翻訳者は本当にそうだと思います。
しかし、多くの新人翻訳者は自分の自由な時間を削りながら、時には睡眠もガマンして納期に間に合わせるため体力勝負の激務をこなしています。
そして報酬面についても、時間あたりの単価は高いかもしれませんが、仕事の絶対数がまだまだ足りない格付けの低いフリーランサーは、短納期の仕事を少しだけこなすと長期の失業状態に陥り、とうてい高収入と呼ぶにはおよびません。
純粋に翻訳だけで生活できるようになるまで、塾などで英語を教えるなど、その他の仕事を並行して生活費をまかなっているというのが現実だと思います。
翻訳者になるために
フリーランスでできる仕事はいろいろあると思います。ただし、翻訳者になるなら、ある程度覚悟を決めて猛勉強する必要があるでしょう。
ここでは、英語↔日本語の翻訳の場合を考えます。すでに高いレベルの英語力を持っていたり母語が英語であるという場合には、翻訳対象となる分野の専門知識を身に付けることで短期間で十分な戦力になれるかもしれません。
逆に高度な専門知識を持っているなら、その分野の過去の翻訳例を中心に読み込むことで、こちらもやはり早い段階で仕事を引き受けることができるようになるでしょう。
専門知識もなく、英語もこれから勉強する、という場合は、とりあえず自分を知るという意味でも一応の目安とされるTOEIC850以上を目指してください。
TOEICで翻訳力を示すことはできないのですが、全く何もない状態よりも少しは採用する側にとって目安になると思います。
多くの募集案内は翻訳経験◯年以上、というところが多いのですが、未経験で応募できる会社も少なくありません。まずはそこから実績を積み、仕事をしながらノウハウを身に付けることが成長の近道でしょう。
少しづつ、必要とされる翻訳者の特徴が見えてくると思います。
私の場合、夢を持って目指した翻訳業というわけではありませんでした。生活の必要に迫られてやむを得ず、歯を食いしばってたどり着いた産業翻訳の世界でした。
実際に仕事をして思ったことは、フリーランスで自己管理しながら働くというのは外で勤めるほど稼げないということでした。
フリーランスの仕事量を外で勤めると、倍、稼げます(笑)。そのなかでも個人事業主を続けていけるとしたら、それは「自分がその仕事を好きでやっているから」だと思います。
フリーランサーになる方法など、今ならインターネットでいくらでも情報が集まるでしょう。
もともとコツコツ頑張ることが性に合っている方なら、翻訳者であっても、何年かかるか分かりませんが、いずれはプロになれるでしょう。トップクラスの翻訳者として認められれば、十分な高収入を得ることもできます。
定年もありませんし頭脳労働ですから、健康に気を配っていればかなりの高齢になっても仕事は続けられます。
大切なのは好きだからしているという自覚です。そう考えると、フリーランサーも会社員も、長く続けるための秘訣は同じなのかもしれませんが。
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